本圀寺

大光山本圀寺：歴史と文化が息づく日蓮宗の古刹

京都市山科区に位置する大光山本圀寺は、日蓮宗の大本山であり、六条門流の祖山として重要な役割を担ってきました。この寺院は、その長い歴史の中で、数々の変遷と重要な出来事を経験してきました。

起源と中世の隆盛

本圀寺の起源は、日蓮が鎌倉に建立した法華堂に遡ると伝えられています。日蓮の流罪後、法華堂は再興され、本国土妙寺と改称されました。その後、後醍醐天皇の勅願所となり、室町時代には足利尊氏の庇護を受け、京都に移転。光明天皇から寺地を賜り、六条堀川に寺基を移しました。この地は、比叡山延暦寺に対する裏鬼門にあたることから、皇室からも崇敬を集め、六条門流の祖山として隆盛を極めました。文明14年には、後土御門天皇から「法華総本寺」の認証を受けました。

戦乱と復興

しかし、本圀寺は幾度かの戦乱に見舞われます。天文法華の乱では、焼き討ちによって焼失し、堺に避難。その後、後奈良天皇の綸旨により旧地に再建されました。永禄年間には、足利義昭の仮居所となり、本圀寺の変という事件も発生。織田信長によって一部の建物が解体され、二条城の建築に利用されるという苦難も経験しました。しかし、その後も豊臣秀吉や徳川家康の庇護を受け、寺領を安堵され、学問所も開かれました。

近世から近代へ

江戸時代に入り、水戸藩主徳川光圀が当寺で生母の追善供養を行った際、自らの名から一字を与え、「本圀寺」と改称されました。また、朝鮮通信使の宿舎にもなりました。天明の大火では、経蔵を除いて伽藍が焼失。幕末には、尊攘派藩士が駐屯し、本圀寺勢と呼ばれる勢力も生まれました。

明治時代に入ると、学制発布によって学問所は廃止。その後、明徳女学校（現・京都明徳高等学校）を設立。日蓮宗の合同に伴う本末制度の解体により、多くの末寺が離散するという混乱も経験しました。

現代の復興と移転

1969年、宗門特選により新貫首が就任すると、訴訟問題の解決と共に、六条堀川の旧地から現在の山科区へと移転し、再興を果たしました。現在、山科にある本圀寺は、金色に装飾された派手な寺院として知られていましたが、近年、旧に復されています。旧寺地には、塔頭寺院が残り、墓地は今も管理されています。また、旧末寺寺院の中には、六条への復興を目指す動きもあります。

境内と文化財

本圀寺の境内には、大本堂、本師堂、清正宮などがあり、歴史と信仰が息づいています。重要文化財である経蔵は、天明の大火から唯一焼失を免れた建物で、創建当時の姿を今に伝えています。また、加藤清正寄進の開運門（赤門）も有名です。境内には、その他にも九頭龍銭洗弁財天や玉房稲荷大明神など、様々な神仏が祀られています。

法脈と関連寺院

本圀寺は、日蓮を始祖とする法脈を受け継いでおり、多くの関連寺院を有しています。その中には、村雲御所瑞龍寺、広布山本満寺、向嶋山長源寺など、各地域で重要な役割を担っている寺院も含まれます。

本圀寺事件

文久3年（1863年）には、本圀寺において鳥取藩士による尊攘派の事件が発生しました。この事件は、幕末の動乱期における尊王攘夷運動の一環であり、多くの犠牲者を出しました。この事件は、本圀寺の歴史に深い影を落としています。

本圀寺は、その長い歴史の中で、幾多の困難を乗り越え、現代にその姿を伝えています。その歴史と文化は、今もなお多くの人々に感動を与え続けています。

アクセス

京都市営地下鉄御陵駅から徒歩約15分。
自動車でのアクセスも可能ですが、道が狭い箇所があるため注意が必要です。

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