法量 (十和田市)

法量（ほうりょう）：奥入瀬川の源流に抱かれた歴史と自然の地

法量は、青森県十和田市の南東部に位置し、奥入瀬川の上流に広がる地域です。かつては法量村として存在し、周辺の村との合併や変遷を経て、現在は十和田市の一部となっています。ここでは、法量の地理、歴史、文化、そして人々の営みについて詳しく解説します。

地理：八甲田山と奥入瀬川が育む豊かな自然

法量地区は、八甲田山の南東斜面に位置し、奥入瀬川、蔦川、熊ノ沢川といった清流に囲まれています。地区の大部分は山間部で、小岳、硫黄岳、高田大岳など、八甲田山を形成する山々のピークが連なっています。これらの山々の裾野には、谷地温泉が湧き出ており、訪れる人々の心と体を癒します。

黒森や土筆森といった山間の高原部には放牧場が拓かれ、肉牛を中心とした畜産業が盛んに行われています。奥入瀬川と蔦川の合流地点より下流では、川の両岸に谷底平野が広がり、集落が点在しています。奥入瀬川に中里川が合流するあたりには、法量神社の鎮座する法量地区の中心地があります。

主な河川

奥入瀬川
蔦川
中里川
熊ノ沢川
稲生川

主な山岳地形

八甲田山
小岳 (1478m)
高田大岳 (1552m)
硫黄岳 (1360.4m)
黒森 (1022.7m)
土筆森 (579.0m)
高峠 (572.8m)

歴史：村から町へ、そして十和田市へ

法量の歴史は古く、中世以前の様子は史料に乏しいものの、戦国時代には三戸城と七戸城を結ぶ街道上に位置し、津軽方面へ抜ける山道の分岐点でもあったため、軍事的な要衝として重要な役割を果たしていました。

江戸時代には南部藩の支配下に入り、法量村として成立しました。明治時代に入ると、周辺の村と合併して法奥沢村となり、その後、十和田村、十和田湖町を経て、2005年に十和田市に合併し、現在に至ります。

地区の変遷

江戸時代: 南部藩（盛岡藩）の支配下、七戸通に属する法量村として成立
明治時代: 法奥沢村（1889年）
昭和時代: 十和田村（1931年）、十和田町（1955年）、十和田湖町（1975年）
現代: 十和田市（2005年）

文化：法量信仰と南祖坊伝説

法量地区には、古くから水神・龍神を祀る「法量信仰」が根付いています。この信仰は、修験者「法霊」にまつわる伝承と深く結びついており、地域の人々の心の拠り所となっています。また、「十和田湖の主」とされる南祖坊に関する伝説も広く伝えられており、樹齢1100年を超える法量のイチョウは、南祖坊が自ら植えたものとされています。

法量信仰と法量神社

南部地方では水神・龍神のことを龗神（おがみ）と呼んで信仰するのが盛んで、この信仰をめぐって「法霊」あるいは「法量」という名の修験者に関する伝承があります。

法量のイチョウ

樹齢1100年と言われ、国の天然記念物になっている法量のイチョウは、南祖坊が自ら植えたものとも伝えられています。この大イチョウが立っている場所には、かつて「善宗寺」（または「善正寺」）があり、その神木だったとされています。

稲生川の開削と三本木原の開拓

法量地区は、幕末に新渡戸傳によって開削された稲生川の源流でもあります。稲生川は、三本木原（現在の十和田市中心部）の灌漑用水として利用され、不毛の地を開拓し、豊かな農地へと変貌させました。稲生川の開削は、地域の発展に大きく貢献し、現在もその恵みをもたらしています。

奥入瀬川の利用と温泉開発

法量地区では、古くから奥入瀬川の水を灌漑に利用してきました。近代以降は、水路開発と耕地整理が進められ、畑作地帯から水田地帯へと変わっていきました。また、奥入瀬川の豊かな水を利用した発電所が建設され、地域の財政を潤しました。これらの財源を基に、焼山地区周辺では温泉開発が行われ、奥入瀬渓流温泉郷として多くの観光客が訪れるようになりました。

名所旧跡

法量神社
法量のイチョウ
奥入瀬渓流温泉郷
焼山温泉
* 谷地温泉

おわりに

法量は、奥入瀬川の清流と八甲田山の豊かな自然に育まれた、歴史と文化の薫る地域です。法量神社や法量のイチョウなど、見どころも満載です。ぜひ一度、法量を訪れて、その魅力を体験してみてください。

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