法院 (満洲国)

満洲国における法院は、司法権を担う重要な機関でした。最高裁判所は新京市の綜合法衙ビルに置かれ、その組織は法律によって詳細に規定されていました。

法院の概要

法院の組織は、満洲国組織法によって以下のように定められました。

司法権の行使: 皇帝が法律に基づき法院に司法権を行わせる（第6条）。
裁判の種類: 民事および刑事訴訟を審判する。ただし、行政訴訟やその他の特別訴訟については別途法律で定める（第32条）。
構成と法官: 法院の構成や法官の資格は法律で定める（第33条）。
裁判の公開: 対審判決は原則公開とする。ただし、安寧秩序や風俗を害する恐れがある場合は、法律または法院の決議により非公開とすることが可能（第36条）。

法院組織法（康徳3年勅令第1号）により、日本の裁判所構成法に倣い、最高法院、高等法院、地方法院、区法院の四級構成で「四級三審制」が採用されました。法官は独立して職務を行い（組織法第34条）、刑事または懲戒裁判の場合を除き、免職、停職、転官、転所、減俸されることはありませんでした（組織法第35条）。

検察制度

検察は、日本の検事局のように裁判所に付置されるのではなく、各法院に対応して独立した官庁として、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁が設けられました。この官制は、戦後の日本や大韓民国における検察庁の発足に影響を与えたとされています。

法院の組織 (1936年6月時点)

1936年（康徳3年）6月時点での法院の組織は以下の通りです。

最高法院
吉林高等法院
新京地方法院
吉林地方法院
延吉地方法院
奉天高等法院
奉天地方法院
遼陽地方法院
撫順地方法院
鉄嶺地方法院
開原地方法院
営口地方法院
西安地方法院
復県地方法院
海龍地方法院
遼源地方法院
安東地方法院
通化地方法院
哈爾浜高等法院
哈爾浜地方法院
呼蘭地方法院
綏化地方法院
海倫地方法院
依蘭地方法院
錦州高等法院
錦州地方法院
承徳地方法院
斉斉哈爾高等法院
斉斉哈爾地方法院
拝泉地方法院
洮南地方法院

歴代最高法院院長

1932年3月9日～1939年12月18日: 林棨
1939年12月18日～1942年5月15日: 井野英一
1942年5月15日～1945年8月18日: 婁学謙

歴代最高検察庁長

1932年3月9日～1939年12月18日: 李槃
1939年12月18日～1945年8月18日: 徐維新

参照項目

* 八大部

このように、満洲国の法院は、当時の司法制度を反映し、独自の組織と運営を行っていました。日本の裁判制度を参考にしつつも、検察制度においては独立性を重視した構成となっていたことが特徴です。

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