波多神社

波多神社の由緒と歴史

波多神社は、長野県松本市波田上波田に位置する歴史ある神社です。社伝によれば、その創建は725年（神亀5年）頃に遡ると伝えられています。当初は萱原神社や青木原神社と呼ばれていましたが、中世から江戸時代末にかけては熊野三社大権現として信仰を集めました。明治時代以降は、波田大明神、波田三柱社、村社波多社と名称を変え、現在に至ります。

創建と変遷

725年頃、畠山城の萱原明神として小さな社殿が祀られたのが始まりです。祭神は沙田神で、泥土煮尊、沙土煮尊、鵜萱葺不合尊の三柱の神と、草姫尊が祀られていました。1143年（康治2年）には熊野大権現が勧請され、合祀されました。1504年（永正元年）に現在地に移され、青木原神社と改称、熊野三社大権現を祀るようになりました。

江戸時代から近代へ

江戸時代には祭礼時の家台（山車）曳きが始まり、地域の人々の楽しみとなりました。1724年（享保9年）の記録には、波多神社が天暦年中に勧請されたと記されており、古くからの産土神であることがわかります。1754年（宝暦4年）には神楽殿が作られ、1767年（明和4年）には朱塗りの権現造り四脚の大鳥居が建立されました。

1801年（享和元年）には、祭礼時の家台曳きの順番を巡って争いが起こり、一時的に家台曳きが中止されましたが、1841年（天保12年）に和解が成立し、再開されました。明治時代に入ると、1871年（明治4年）の廃藩置県により、神社に関する事務が松本藩から筑摩県へ引き継がれ、翌年には村社波多社となりました。1909年（明治42年）には、近隣の無格社である天神社と神明社が波多社に合併されました。1911年（明治44年）には神饌幣帛料供進社に指定され、1946年（昭和21年）には宗教法人波田神社として登記されました。

近年の出来事

1953年（昭和28年）には、凶作のため祭礼での客招きや家台曳きが中止され、神事のみが執り行われました。1954年（昭和29年）には、家台の事故で幼児が亡くなるという悲しい出来事がありました。

境内と周辺

波多神社の境内には、樹齢800年以上と言われる小楢の木があり、松本市指定の特別天然記念物となっています。また、神社周辺には、田村堂、仁王門、阿弥陀堂などが隣接して建っています。

アクセス

アルピコ交通上高地線（松本電鉄）渕東駅から南へ向かう上り坂を上った場所に位置しています。

波田地区の他の神社

波多神社以外にも、波多地区には三神社、諏訪神社、竜島神社、麻神社、火打岩神社など、多くの神社や祠が点在しています。これらの神社は、地域の歴史や文化を伝える上で重要な役割を果たしています。

まとめ

波多神社は、長い歴史の中で地域の人々に信仰され、大切に守られてきた神社です。その変遷は、地域の歴史と深く結びついており、今日まで多くの人々に親しまれています。

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