波多野勤子

波多野勤子（はたの いそこ）

波多野勤子は、1905年12月26日に東京で生まれた日本の心理学者です。父は畠山健。

略歴

1927年、日本女子大学英文学部を卒業後、女子経済専門学校で英語教師として教鞭を執りました。
1928年、日本女子大学児童研究所の開設に伴い、所員となります。
1930年、心理学者の波多野完治と結婚。
1936年、東京文理科大学心理学科選科を卒業。
1937年、日本女子大学児童研究所を辞職し、東京文理科大学教育相談員兼心理学科副手に就任。
1948年、日本大学大学院に入学する傍ら、恩賜財団愛育会愛育研究所教育部員として活動（1957年まで）。
1950年、『少年期―母と子の四年間の記録』を出版。この著書はベストセラーとなり、彼女の名を広く知らしめました。
1953年、東洋大学助教授に就任。
1956年、日本大学より文学博士号を取得。
1960年、日本児童研究所を創設し、所長に就任。児童心理学の研究と普及に尽力しました。
1963年、国立音楽大学大学教授に就任（1971年まで）。同年、財団法人母親乃学園を創設し、理事長となります（1966年に「波多野ファミリースクール」と改称）。
1964年、社会福祉法人日本家庭福祉協会を設立し、理事長に就任。家庭福祉の向上に貢献しました。
1966年、文学博士の学位を取得(女性としては3人目、心理学専攻では日本初)しました。
1978年9月15日、癌性腹膜炎のため逝去。享年72歳。

人物

1967年には、佐藤栄作首相が、森田たまに連れられて訪問を受けた波多野について、「立派な夫人で、もっとゆっくり話して見渡い」と日記に綴っています。

受賞歴

1954年、『幼児の心理―あなたのお子さんはすばらしくなる』で毎日出版文化賞を受賞。
1972年、教育功労賞を受賞。
1976年、勲三等宝冠章を受章。
1977年、児童福祉事業功労賞を受賞。

著書（一部）

『少年期―母と子の四年間の記録』
鈴木清と共著 『小学校の指導12ケ月』 志摩書房 1951年
波多野文彦と共著 『受験期』 文藝春秋 1965年
与田準一と共編 『幼児に聴かせるたのしい話』 中央公論社 1949年
編著 『新家庭読本』 金子書房 1964年
編著 『子どもの能力を生かす方―能力をフルに発揮するために』 三晃書房 1973年
編著 『子どもを伸ばす条件―効果のあがる家庭教育』 三晃書房 1974年

翻訳（一部）

ディケンズ 『二都物語』 内田書店 1946年
ルイス・ウィルソン 『トニーよ、二人して歩こう―ある母の記録』 タイムライフインターナショナル 1968年
ハイム・G・ジノー 『青年期との対決』 タイムライフインターナショナル 1970年

論文（一部）

「児童の夢の絵 (1) 形態的研究」『心理学研究』第7巻第1号、1932年
「図式段階に於ける児童画の一考察」 『教育心理研究』第9巻 5号（1934年）
「一幼児の発達に於ける或る段階 上下」 『教育心理研究』第11巻 2号 - 3号（1934年）
「一幼児の初期の文章」 『教育心理研究』第11巻 5号（1936年）
「五歳児の精神発達とその教育記録」 『教育心理研究』第13巻 12号（1938年）
「図画教育としての絵物語り」 『児童研究所紀要』第16巻（1934年）
* 「家庭に於けるしつけ」 『児童問題新書13 新しいしつけ』金子書房（1951年）

親族

息子に国際法学者の波多野里望、心理学者の波多野誼余夫がいます。小説家の波多野鷹は孫にあたります。

波多野勤子は、日本の心理学、特に児童心理学の発展に大きく貢献した人物として、その功績は永く記憶されるでしょう。

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