波逸提

波逸提（パーチッティヤ）について

波逸提は仏教の出家者である比丘（男性）や比丘尼（女性）に課せられる戒律の一部で、特に「捨堕」に記載されている所有物以外に関連する規定や食事の時間についての禁忌を成立させる基準です。これらの戒律は出家者が精神的な修行に専念できるよう、生活全体にわたってさまざまな行動を制限することを目的としています。

出家者には、波逸提に関連する特定の条文があり、比丘には92条、比丘尼には166条の規定が定められています。これらの戒律は出家者の生活における重要な側面であり、日常の行動や礼儀に大きな影響を与えています。

比丘の波逸提（92条）

比丘が遵守する必要のある波逸提は、以下のように分類されます：

1. 妄語（1-10）: 嘘や不正直な言葉を避けることが求められ、可能な限り真実に基づいた表現が重要視されます。
2. 植物（11-20）: 自然や植物に関わる行為が規制され、どのような植物を扱うかが厳密に定められています。
3. 教誡（21-30）: 出家者としての教えや道徳的義務についての遵守が求められます。
4. 受食（31-40）: 食事の取り方や時間についての細かな規定があります。特に、食べ物の選択や受け方に注意が必要です。
5. 裸行（41-50）: 身体の露出についての規定があり、公共の場での慎みが求められています。
6. 飲酒（51-60）: アルコールの摂取が厳しく禁じられており、心を乱さない生活が奨励されています。
7. 水生物（61-70）: 水中での生物の扱いについての規定があります。
8. 依法（71-82）: 仏教の教えに基づいて行動することが要求され、教義に反する行動を避けなければなりません。
9. 宝物（83-92）: 所有物に関する戒律で、過度な贅沢を避けることが重要です。

比丘尼の波逸提（166条）

比丘尼についても同様に波逸提があり、166条の詳しい規定が設けられていますが、内容は比丘のものと関連しつつも、女性特有の生活環境や社会的な役割を考慮した内容になっています。比丘尼の戒律は、より多くの条文が設定され、さまざまな状況における行動が厳密に定められています。

罪の告白と僧権の回復

波逸提に違反した場合、出家者はサンガ（4人以上の僧団）や2-3人の仲間、または長老の前で告白を行い、その行為が認められることで罪が成立します。このプロセスは、「捨堕」と同様に、僧権を回復させるために重要な手続きを形成しています。これは、出家者が精進し、道を外れないようにするための大切な制度と言えます。

まとめ

波逸提は仏教出家者の生活において非常に重要な位置を占めており、精神的な修行の過程において自らを律するための基盤となります。出家者がこの戒律を守ることによって、仏教の教えを実践し、他者との調和を保つことができます。信者や修行者としての生き方を深く見直し、日常生活における行動に注意を払うことが、波逸提の真の意義を理解する鍵となるでしょう。

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