泣くな! 十円

『泣くな! 十円』

『泣くな! 十円』は、日本の漫画家つのだじろうによる作品で、1971年から1973年まで『週刊少年チャンピオン』に連載されていました。この物語は、銭湯「聖徳湯」の家族を背景にして、小学生の聖徳十円の成長を描いています。

物語の概要

聖徳十円は、聖徳湯の次男であり、小学生活を送る普通の男の子です。彼は、全科目において成績がオール1という劣等生で、さらに頭にはトレードマークのように十円ハゲがあります。そんな彼は、周りからの期待に応えることができず、親や友達、さらにはいじめっ子からも悩まされている存在です。それでも、彼には根底に善良さと勇気があり、特にかわいい妹、聖徳太子のために立派な兄になりたいと奮闘します。

一見、弱々しく思える十円ですが、彼は自らの信念をもって様々な試練に立ち向かいます。彼が直面する問題は、家庭での期待、学業、人間関係と多岐にわたります。特に登場するいじめっ子、黒田は裕福な家庭の子どもで、彼の存在は十円にとって大きな試練です。

登場人物

物語には、十円以外にも魅力的なキャラクターが登場します。十円の兄、聖徳五十六は優秀な学生であり、しばしば十円を手助けしますが、彼を上回る成績へのプレッシャーもあります。妹の聖徳太子は家族の中で唯一十円を敬っており、彼女の存在が十円にとって頼りとなることもしばしばです。

担任の西村長介は、どこかの有名人に似た顔立ちをしており、厳格な教師です。彼の指導の下、十円は少しずつ成長していきます。また、十円の同級生であり、学級委員を務める山中ひろ子は、彼のヒロイン的存在として物語に彩りを加えています。彼女は優れたリーダーシップと知性を持ち、十円にとって良き友人となります。

舞台設定

物語の舞台は、聖徳湯がある町を中心に設定されており、明確には示されていませんが、町田駅や墨東区立下町小学校が登場します。これにより、読者は十円の世界観を感じつつ、自身の住む町との共通点を見出すことができるかもしれません。

連携作

興味深いことに、この作品には他の作品とのクロスオーバーがあり、つのだが描く『恐怖新聞』の中でも聖徳十円が登場します。このような形で漫画の中でキャラクターが共有されることは、ファンにとって特別な楽しみです。

単行本

『泣くな! 十円』は、全2巻が出版されており、どちらも絶版となっています。初巻は1972年8月10日に、続編は同月25日にリリースされました。両巻はつのだじろうが持つユニークなタッチとストーリーを堪能するに十分な内容です。

このように、『泣くな! 十円』は、成長や家族愛、友情といったテーマを通じて読者に深いメッセージを伝える作品であり、日本の漫画文化においても特有の存在感を持っています。

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