洋上補給

洋上補給：航行中の艦船への生命線

洋上補給は、航行中の艦船へ燃料、水、食料、弾薬などの物資を補給する重要な技術です。文字通り、海上で艦船同士、あるいは艦船とヘリコプター間で行われます。この技術は、艦船の航続距離や作戦行動の持続可能性を大きく左右する、まさに海の生命線と言えるでしょう。

古典的な手法から現代技術へ

洋上補給の歴史は古く、帆[[船]]時代からその萌芽が見られます。しかし、本格的な発展は、艦船の動力源が帆から蒸気機関、そして石油へと移行した19世紀後半以降です。初期の洋上補給は、主に補給艦と受給艦を索で繋ぐCONREP（connected replenishment）と呼ばれる方法で行われていました。これは、文字通り両艦を繋いで物資をやり取りするもので、燃料や食料だけでなく、弾薬などの補給にも用いられました。

しかし、CONREPは天候に左右されやすく、作業効率も低かったため、より安全で効率的な方法が模索されました。その結果、ヘリコプターを用いたVERTREP（vertical replenishment）が開発され、特にドライカーゴ（液体以外の物資）の補給に広く用いられるようになりました。

洋上給油：燃料補給の技術革新

洋上給油（fueling at sea, FAS）は洋上補給の中でも特に重要な要素です。艦船の行動範囲は燃料供給に大きく依存しており、長期間の航海や作戦行動には、洋上での燃料補給が不可欠です。

イギリス海軍は1870年代に石炭の洋上補給を試みましたが、当時は1時間に5トン程度の補給しかできず、実用性に乏しいものでした。その後、技術の進歩により、1902年には1時間に30トンの石炭補給を達成するまでに至りました。

燃料が石炭から石油へと移行すると、液体燃料の補給は、ドライカーゴの補給に比べて技術的な難易度が低いため、より容易に行えるようになりました。アメリカ海軍は第一次世界大戦中に初めて洋上給油を実施し、その後、技術開発が急速に進みました。

初期の洋上給油は、補給艦の後方に受給艦が続く縦引き給油法が主流でしたが、1930年代には、並走しながら給油を行う横引き給油法が開発され、第二次世界大戦中にはこちらが主流となりました。横引き給油では、両艦の間にスパン・ワイヤと呼ばれる鋼索を張り、給油ホースを懸架して給油を行います。

初期の給油ホースの接続は人力で行われていましたが、夜間や荒天時には困難を極めました。そのため、アメリカ海軍は1950年代後半から自動嵌合機構を備えたプローブ方式を開発し、1965年に制式化しました。この方式では、慣性力を利用して給油ホースが自動的に接続されるため、人力による作業が不要となり、安全性と効率性が大幅に向上しました。

ドライカーゴの補給：ハイライン移送システム

弾薬や糧食などのドライカーゴの補給についても、アメリカ海軍が技術革新をリードしました。初期には、補給艦のブームクレーンで物資を吊り上げ、受給艦へ引き寄せるという方法が用いられていました。

しかし、ミサイルの普及などにより、より効率的で安全な方法が求められるようになり、FAST（Fast Automatic Shuttle Transfer）法やSTREAM（Standard Tensioned Replenishment Alongside Method）法が開発されました。STREAM法は、ハイライン索を用いて物資を移送するシステムで、現在も広く用いられています。このシステムでは、ハイラインの張力を油圧と圧縮空気を利用したラムテンショナー装置で調整することにより、安全かつ効率的なドライカーゴの移送を実現しています。

まとめ

洋上補給は、長期間の航海や作戦行動を支える重要な技術です。帆[[船]]時代から始まり、現在に至るまで、技術革新を繰り返し、安全性と効率性が飛躍的に向上してきました。今後も、新たな技術開発が続けられ、より安全で迅速な洋上補給システムが構築されていくものと期待されます。

もう一度検索