洋館長屋

神戸北野の異人館：洋館長屋（仏蘭西館）

神戸市中央区北野通に佇む洋館長屋は、そのユニークな外観と、フランスの芸術文化が香る館内コレクションで知られています。別名「旧ボシー邸」「仏蘭西館」とも呼ばれるこの建物は、重要伝統的建造物群保存地区「北野町山本通」に指定され、「ひょうごの近代住宅100選」にも選定されている由緒ある建造物です。

歴史と建築

1908年、外国人居留地向けアパートとして建設された洋館長屋は、その後北野通りに移築されました。通りに面して建つ左右対称の2つの建物が中央で連結しており、その連結部分に設けられた階段が、独特の景観を生み出しています。日本の伝統的な長屋を思わせるこの外観が、名前の由来となっています。現在では、当時の煙突は撤去され、窓も引き違い窓へと変更されるなど、部分的な改修が加えられていますが、歴史的な雰囲気はしっかりと保たれています。

館内の魅力：フランス芸術の息吹

館内は、その名のとおりフランスの芸術文化で彩られています。アール・ヌーヴォーを代表する巨匠、エミール・ガレやドーム兄弟らの、息を呑むようなガラス工芸の数々が来館者を迎えます。さらに、エコール・ド・パリを代表する画家、シャガールや藤田嗣治の作品も展示されており、西洋絵画の歴史と魅力を肌で感じることができます。

これら絵画作品に加え、ナポレオン時代のピアノや、創業期のルイ・ヴィトン製のトランクなど、時代を感じさせる貴重なアンティークの数々が、当時の暮らしや文化を偲ばせます。これらの品々は、単なる展示物ではなく、当時の優雅な生活様式や、国際都市神戸の歴史を物語る重要な証人と言えるでしょう。

アクセスと周辺情報

洋館長屋へのアクセスは良好です。新神戸駅から徒歩10分、三宮駅からも徒歩圏内(15分)と、観光拠点からのアクセスが容易です。

周辺には、他の異人館も点在しています。東隣にはベンの家、西隣には旧フデセック邸（英国館）、向かいには旧ドレウェル邸（ラインの館）や旧米国領事館官舎（神戸北野美術館）、斜め向かいには旧ヒルトン邸などがあり、北野異人館めぐりの拠点として最適な立地です。これらの異人館を巡り、それぞれの建築様式や歴史を比較しながら散策するのも、北野異人館街を楽しむ上での醍醐味と言えるでしょう。

開館時間と休館日

開館時間は9:00～18:00（10月15日～3月中旬は9:00～17:00）です。年中無休で営業しており、都合の良い時間帯に訪れることができます。

まとめ

洋館長屋は、その歴史的価値、芸術作品のコレクション、そして便利な立地と、多くの魅力を兼ね備えた異人館です。神戸北野を訪れた際は、ぜひ足を運んで、歴史と芸術に浸るひとときを過ごしてみてください。異国情緒あふれる北野の街並みを散策し、数々の歴史的建造物を巡ることで、神戸の国際的な側面と、その豊かな文化遺産を深く理解することができるでしょう。

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