津下健哉

津下 健哉について

津下健哉（つげ けんや）は、1921年11月25日に生まれ、2016年5月1日に逝去した日本の著名な整形外科医です。彼は広島大学医学部の名誉教授であり、岡山大学医学部の助教授や広島手の外科・微小外科研究所の所長など、多くの重要な職務を歴任しました。

来歴

岡山県出身の津下は、医学者を多数輩出した津下一族の一員として誕生しました。彼自身も医学の道を志し、岡山医科大学に入学。卒業後、同大学が岡山大学医学部に改組される際に助教授に就任し、整形外科の分野を専門的に研究しました。その後、広島大学に移り、教授としての地位を築きました。彼の学位は1949年に取得した医学博士で、論文タイトルは「肝外胆道の解剖學的研究」です。

1996年には勲三等旭日中綬章を受章し、日本の医療界での貢献が広く認められました。2016年には、日本手外科学会の講演中に重傷を負い、その後、広島大学病院で亡くなりました。

研究業績

津下の主な研究テーマは整形外科ですが、特に手の外科において顕著な業績を残しています。彼は、腱や神経の断端吻合を迅速化するための手術用糸「津下式ループ針」を開発しました。この新しい糸によって、治療の効率が飛躍的に向上し、現在でも身近な医療現場で広く使用されています。

また、日本手外科学会は彼の手術模様をビデオライブラリー化し、医師の研修に役立てています。更には、彼の著書は国際的にも評価され、英訳版が出版されています。

家族背景

津下家は、岡山市沼に代々医師を務める家系であり、彼の先祖からも卓越した医療人が数多く生まれています。特に、岡山藩医学館などで名を馳せた津下精斎と島村鼎甫は、有名な兄弟で、緒方洪庵の適塾で共に学びました。

津下健哉の妻は、政治家で医師でもある菅實の二女です。菅實も地域社会でさまざまな役職に就いており、家族の医療への貢献を象徴しています。また、彼の義姉である姫井千恵子は政治家として活動し、義兄の菅寿雄は実業界での実績があります。さらに、彼は第94代内閣総理大臣の菅直人およびその妻の菅伸子とも親族関係にあります。

著作

津下健哉は多くの著作を残しており、特に「手の外科」に関するものが多いです。彼の代表的な著書には、1965年に出版された『手の外科の実際』や、その改訂版が含まれています。1984年には『私の手の外科――手術アトラス』というアトラス形式の書籍も出版され、手の外科における知識の普及に寄与しました。これは現在でも多くの整形外科医にとって重要な参考文献となっています。

結論

津下健哉は、整形外科の分野において多大なる影響を与えた医師であり、彼の業績は今もなお医療界に生き続けています。新しい手法の開発や教育への貢献を通じて、多くの医師と患者に恩恵をもたらした彼の功績は、賞賛に値するものです。

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