津山市城西伝統的建造物群保存地区

津山市城西伝統的建造物群保存地区：江戸時代の面影を今に伝える歴史的な町並み

岡山県津山市の城西地区は、江戸時代に津山藩の城下町として整備された場所です。この地区は、伝統的な建造物群が保存されており、2020年12月23日に重要伝統的建造物群保存地区として選定されました。地区内には、当時の地割が良く残っており、商家町や寺町といった特徴的な町並みが形成されています。

城下町の歴史と地理

津山市は、岡山県の東北部に位置し、美作地方の中心都市として発展してきました。城西地区は、津山城の西側に位置し、出雲往来沿いの地域を中心とした12ヘクタールの範囲です。この地区は、慶長8年（1603年）に津山藩主・森忠政によって津山城の築城とともに整備され、城下町としての基礎が築かれました。その後、元禄10年（1697年）に森家が断絶し、松平家が津山城主となり、明治時代までその支配が続きました。

城下町は、城を中心に広がり、出雲往来に沿って町人地が、城の周囲には武家町が、そして商家町の外側には寺町が形成されました。1700年代初期には、現在の町並みがほぼ完成していたと考えられています。

明治時代に入ると、鉄道の開通により城下町の南西に津山駅が開設され、寺町から駅へと続く道が整備されました。これにより、城西地区は津山の玄関口として繁栄し、江戸時代から昭和にかけての歴史的な町並みが形成されました。

保存地区の町並み

城西地区は、出雲往来沿いに形成された町並みが特徴で、江戸時代に整備された地割が良く保存されています。商家町には、伝統的な町家が軒を連ね、寺町には、各時代、各宗派の寺院が建ち並んでいます。これらの建物や町並みは、歴史的な風情を今に伝えています。

商家町

商家町は、出雲往来沿いに細長い敷地が並び、切妻造りの二階建ての建物が多く見られます。これらの建物は、江戸時代後期から昭和30年代にかけて建てられたもので、伝統的な様式を今に伝えています。地区の中央を流れる藺田川の東側では、アーケードの設置により建物の外観が改変されている部分もありますが、躯体自体は伝統的な様式を残しています。また、藺田川の西側、西今町では、昭和12年頃に道路空間を広げるために「軒切り」が行われ、統一感のある町並みが形成されています。

寺町

寺町には、江戸時代初期から昭和後期にかけての各時代、各宗派の寺院が建ち並び、城下町形成の初期からの歴史を物語っています。地区内には、江戸時代に創建された22の寺院のうち、12の寺院が残っており、特に西寺町の出雲往来沿いには、異なる宗派の寺院が並び、独特の雰囲気を醸し出しています。

文化財

城西地区には、多くの文化財が点在しています。その中でも特に重要なのは、国の重要文化財に指定されている本源寺です。本源寺は、津山藩主・森家の菩提寺であり、江戸時代中期までに整備された本堂や庫裏、霊屋などが残っています。また、作州民芸館（旧土居銀行津山支店）や翁橋なども、登録有形文化財として登録されています。これらの文化財は、城西地区の歴史と文化を物語る貴重な遺産です。

アクセス

城西地区へは、JR津山駅から徒歩約15分でアクセスできます。周辺には、津山城や城東地区など、他の歴史的な観光スポットもあります。

城西地区は、江戸時代の城下町の面影を色濃く残す貴重な場所であり、歴史や文化に興味のある方にとっては、ぜひ訪れていただきたい場所です。

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