津村秀夫

津村秀夫の生涯と業績

津村秀夫（つむら ひでお、1907年8月15日 - 1985年8月12日）は、日本の映画評論界で重要な役割を果たした人物です。彼は兵庫県神戸市に生まれ、長いキャリアをと思い描き、映画が芸術であることを多くの人々に認識させる道を開きました。

津村は第七高等学校を卒業後、1931年に東北帝国大学独文科を卒業しました。卒業後は朝日新聞社に入社し、同社の映画批評欄を担当。そこで「Q」というペンネームで映画評を執筆し、批評活動を始めました。彼の評論は、映画を単なる娯楽としてではなく、深い芸術性を持つ文化的な表現として捉える姿勢が特徴です。これは当時の映画評論界の先駆けとなり、映画の芸術性を論じる重要なステップとなりました。

1937年には池谷信三郎賞を受賞し、その名声を高めました。さらに、1942年10月号に掲載された『文学界』の座談会「近代の超克」では名前が挙がり、彼の見識と影響力が広く認知されました。

戦後、津村は1949年に復刊した『アサヒカメラ』の編集長として7年間、編集チームを引っ張りました。彼とともに顧問として参加したのは、伊奈信男、金丸重嶺、木村伊兵衛、渡辺義雄など、映画界で名のある人物たちです。彼らは映画に関する多くの対話や考察を提供し、表現の幅を広げました。

津村は退職後も映画評論家として多くのメディアに寄稿し、また、毎日映画コンクールの選定委員や財団法人都民劇場の理事としても活動しました。1962年からは慶應義塾大学や共立女子大学で講師として後進の指導にも努めました。彼は1973年に紫綬褒章を受章し、彼の映画界への貢献が評価されたことを示しました。

主な著書

津村秀夫は、多くの書籍を著しており、その中には映画の批評や観賞に関する重要な考察が含まれています。主な著書には以下のものがあります：

• - 『映画と批評 正続』（小山書店、1939-40年、後に角川文庫）
• - 『映画政策論』（中央公論社、1943年）
• - 『映画と鑑賞』（創元社、1941-1943年）
• - 『映画戦』（朝日新聞社、1944年）
• - 『青春の回想』（文明社、1946年）
• - 『新しい映画美 正続』（創元社、1949－51年）
• - 『今日の映画』（要書房、1950年）
• - 『映画美の味はひ方』（大泉書店、1951年）
• - 『映画と人生』（創元社、1953年）
• - 『私の映画遍歴』（角川書店、1954年）
• - 『映画と人間像』（三笠書房、1955年）
• - 『溝口健二というおのこ』（実業之日本社、1958年）
• - 『映画美を求めて』（勁草書房、1966年）
• - 『世界映画の作家と作風 1－2』（勁草書房、1969-74年）
• - 『不滅の映画美を今日にさぐる』（勁草書房、1977年）
• - 『遠くの島から来た手紙』（勁草書房、1984年）

津村秀夫は、映画評論を通じて日本の映画文化に多大な影響を与え、後世にその思想や考え方を引き継ぐ存在でした。彼の業績は、今もなお多くの映画愛好家や学者にとっての指標となっています。

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