津田信敏

舞踊家 津田信敏：近代舞踊の礎を築いた生涯

津田信敏（1910年-1984年）は、日本の近代舞踊史に大きな足跡を残した舞踊家です。静岡県出身で、青山学院大学英文学科卒業。在学中から児童舞踊を始め、その後、芸術舞踊へと活動の幅を広げました。

ドイツ留学と近代舞踊への貢献

1935年、近代舞踊（モダンダンス）の研究を目的としてドイツへ留学。マックス・テルピス舞踊学校やドイツ国立舞踊大学で研鑽を積みました。帰国後は、自らの舞踊学校を設立するなど、日本の近代舞踊界に多大な影響を与えました。その指導力と、革新的な表現方法は多くの舞踊家に刺激を与え、日本の舞踊界の発展に貢献しました。

設立した舞踊学校と門下生たち

1952年、元藤燁子と結婚し、津田近代舞踊学校（後にアスベスト館と改称）を設立。多くの弟子を育成しました。しかし、1962年に元藤燁子と別れた後、アスベスト館を離れ、津田信敏舞踊研究所を開設。小林琴美、藤田三恵子、小林美代子、原さなえなど、後世に大きな影響を与えた多くの優れた舞踊家を育成しました。彼らがそれぞれの場所で活躍する姿は、津田信敏の指導者としての力量の高さを示しています。これらの門下生たちは、津田信敏の教えを受け継ぎ、日本の近代舞踊界を牽引する存在となりました。

独自の舞踊理論と教育

津田信敏は、独自の舞踊理論と教育方法を持っていました。それは単なる技術指導にとどまらず、舞踊を通して人間の精神性を高めようとするものでした。厳しい指導で知られていましたが、同時に、生徒一人ひとりの個性を尊重し、才能を伸ばすことに尽力していました。その指導方法は、多くの門下生から高く評価され、彼らが優れた舞踊家として成長する大きな支えとなりました。

没後と記憶

1984年に病没。没後も、彼の功績は高く評価されています。2008年には生誕100年を記念したリサイタルが開催され、門下生たちが彼の作品を再演しました。これは、津田信敏が日本の近代舞踊界に遺した大きな遺産と、彼の教えが今もなお多くの舞踊家に受け継がれていることを示しています。

主要な門下生

津田信敏には、多くの才能ある弟子がいました。その中には、元藤燁子、土方巽、若松美黄、小林琴美、藤田三恵子、原さなえ、津田郁子などが含まれます。これらの舞踊家たちは、それぞれ独自のスタイルを確立し、日本の舞踊界に大きな影響を与えました。彼らが築き上げた功績は、津田信敏の指導の賜物であり、彼の影響力の大きさを物語っています。

参考文献

小林琴美,吉田悠樹彦（著）「生きること教えたまいし異端の人 前衛舞踊家 津田信敏」,小林琴美舞踊研究所,2021 (吉田悠樹彦「津田信敏と近代舞踊」)
「Corpus : 身体表現批評 no.4」（特集 土方巽）書苑新社、2008年。吉田悠樹彦「津田信敏と門下生たち」

関連項目

元藤燁子
土方巽
* 吉田悠樹彦

津田信敏は、厳格な指導と革新的な表現方法で知られ、多くの弟子を育成しただけでなく、日本の近代舞踊の発展に大きく貢献した重要な人物です。彼の功績は、これからも日本の舞踊界に語り継がれていくでしょう。

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