モダンダンス

モダンダンスの歴史と展望

モダンダンスは、19世紀末から20世紀初頭にかけて主にドイツとアメリカにて誕生した、劇場舞踊の一形式です。その舞踊は多種多様で、バレエに対する反逆や否定と見なされることが多かったと言われています。その背後には、当時の社会経済的および文化的な背景が影響しています。

起源と背景

モダンダンスは、イザドラ・ダンカンやロイ・フラーなどの舞踊家によって推進され、彼らは「美的舞踊」や「自由舞踊」といった新しい上演形式を模索しました。これにより、バレエの厳しい動きの制約から脱却し、柔軟で自由な表現を追求することができるようになります。コルセットやトウシューズの着用をやめ、身体の自然な動きを生かした演技が根付いていきました。

20世紀における発展

20世紀を通じて、モダンダンスはアメリカとドイツでの社会政治的な問題や歴史的な事件に影響を受け、さらなる進化を遂げていきます。1960年代には従来のダンス様式への反応として、ポストモダンダンスが登場し、自由な即興や新たなパフォーマンスアートが取り入れられました。こうした流れは、モダンダンスの形式的な要素を否定し、柔軟で非定型のダンスを求めるアーティストたちによって促進されました。

モダンダンスの発展は、大きく三つの時代に分けられます。初期の時代（1880年～1923年）では、イザドラ・ダンカンやロイ・フラー、ルース・セント・デニスなどが活躍し、今までのダンスの概念を大きく変えるきっかけをつくりました。中期（1923年～1946年）には、マーサ・グレアムやドリス・ハンフリーが新たな動きのスタイルを確立し、後期（1946年～1957年）には、マース・カニンガムやホセ・リモンが抽象表現や前衛的な動きを鮮明にし、ポストモダンダンスの先駆けとなる道を拓きます。

教育と影響

モダンダンスは教育機関でも重要な役割を果たしました。特に、ベニントンカレッジで設立された舞踊夏季学校は、全国の大学でダンス教育を行うための基盤となりました。また、アフリカ系アメリカ人ダンサーたちもモダンダンスに名を刻んでおり、キャサリン・ダナムやアルヴィン・エイリーなどが自身のスタイルを確立し、彼らの作品は社会的議題を反映したものでした。彼らのダンスは、文化的背景や人種問題を強く意識して表現されました。

モダンダンスの遺産

モダンダンスは、20世紀の劇場舞踊における重要な基礎を築きました。自由舞踊さえもその影響を受けており、多様なスタイルが発展しています。モダンダンスの創始者たちは、革新を追求し続け、また新しい世代のアーティストにも影響を与えました。

ポストモダンダンスへの遷移

ポストモダンダンスは1960年代の社会的・政治的な動きの中で発展し、アートと政治の境界を越えた新しい表現方法を探求しています。この流れの中で、振付家たちは個別的なスタイルを生み出し、さまざまな文化や時代から影響を受けるようになりました。音楽を排除することが一般的であった今、このダンスは独自の進化を遂げており、さらに新たな表現形式が期待されています。

モダンダンスの芸術的実質は多様で、振付家の個性が色濃く出ており、それによって生まれる作品は常に新たな地平を切り開いています。

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