津貫駅

津貫駅は、1931年（昭和6年）3月10日に枕崎線の延伸とともに開業しました。この駅は、かつて鹿児島県加世田市津貫（現在の南さつま市加世田津貫）に位置し、鹿児島交通枕崎線（南薩鉄道）の駅として機能していました。

開業当初、津貫駅は駅前にあった本坊酒造津貫蒸留所への引き込み線を有していました。この引き込み線は、蒸留所で製造された焼酎の貨物輸送に利用され、駅は地域経済の一翼を担っていました。

しかし、時代の流れとともに、津貫駅は1971年（昭和46年）4月1日に無人駅化されました。これは、鉄道利用者の減少や運営の効率化に伴う措置でした。さらに、1984年（昭和59年）3月17日には、枕崎線自体が廃止されることとなり、津貫駅もその歴史に幕を閉じました。

駅の構造としては、地上駅でした。開業当初は交換設備を備えていましたが、1971年（昭和46年）に無人駅となる際に撤去されました。

駅周辺には、本坊酒造津貫蒸留所や津貫郵便局といった施設がありました。また、駅が廃止された当時は、加世田警察署津貫駐在所、加世田市立津貫小学校、加世田市立津貫中学校が近隣に位置していました。これらの施設は、駅が地域社会において重要な役割を果たしていたことを示しています。

駅の廃止後、その面影は徐々に失われていきました。2003年（平成15年）頃まではプラットホームが残っていましたが、その後、駅の跡地は保育園として活用されるようになりました。また、枕崎側に残っていた踏切跡のレールも撤去され、国道270号に並行して残っていた道床跡も国道の拡幅工事によって姿を消しました。これにより、かつての津貫駅の姿を偲ぶことは困難になっています。

枕崎線における津貫駅の隣の駅は、干河駅と上津貫駅でした。これらの駅も、枕崎線廃止とともにその役割を終えています。

津貫駅は、地域住民の生活を支え、地域経済の一端を担った鉄道駅としての役割を終えましたが、その歴史は今も語り継がれています。

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