津軽森林鉄道

津軽森林鉄道とは

津軽森林鉄道は、青森県の津軽半島一帯に路線を持っていた、日本初の森林鉄道です。1906年に着工し、1908年に一部が開業しました。翌1909年には青森貯木場から喜良市までの幹線67kmが完成し、支線を含めた総延長は283kmにも及びました。2017年には林業遺産に認定されています。

路線データ

幹線：青森市沖館 - 五所川原市金木町喜良市間 67km

内真部支線：青森市清水 - 同市内真部間 6.4km
新城支線：青森市岡町 - 同市新城間 7.5km
後潟支線：青森市六枚橋 - 同市後潟 3.4km
六枚橋支線：青森市小橋 - 同市後潟 2.1km
その他多数の支線

これらの路線は全て青森県内にありました。

建設の経緯

津軽半島のヒバ林は日本三大美林の一つとして知られ、古くから木材として利用されてきました。しかし、未利用のヒバも多く残っていました。当時の木材輸送は、河川を利用した原始的な方法に限られており、輸送能力が脆弱でした。

19世紀後半になると、鉄道網が整備され、青森市が木材の集積地として発展しました。日露戦争を機に木材需要が増加し、国による木材生産が求められるようになりました。そこで、津軽半島の豊富な木材を効率的に輸送するため、森林鉄道が導入されることになりました。

歴史

津軽森林鉄道の建設にあたり、2つの路線案が検討されました。

1. 石川越：内真部から喜良市までを直線で結ぶ路線案
2. 六郎越：青森貯木場から津軽半島を北上し、トンネルを抜けて喜良市に至る路線案

最終的に、利用区域の拡大と機関車の能力を考慮し、「六郎越」案が採用されました。

工事は1906年に始まり、3区間に分けて実施されました。1909年には全線が開通し、津軽半島に一大森林鉄道網が形成されました。1910年からは本格的な運用が開始され、木材輸送だけでなく、沿線住民の足としても重要な役割を果たしました。

1914年には木材輸送量がピークを迎えましたが、その後、経済恐慌や第二次世界大戦の影響で輸送量は減少しました。戦後、木材需要が回復したものの、自動車輸送の発達により、森林鉄道は衰退の一途を辿りました。

1967年に幹線が廃止され、その後、支線も全て廃止されました。

保存車両

現在、内燃機関車や客車が資料館などで保存されています。また、金木歴史民俗資料館には当時の車両が静態保存されています。

廃線跡の状況

廃線跡の一部は道路として転用され、地域住民に利用されています。また、山中には廃線跡や橋梁、トンネルなどの遺構が残っており、当時の面影を偲ぶことができます。老朽化が進んでいる箇所もありますが、地元住民による保存運動も行われています。

参考文献

『六十五年の歩み』青森営林局(1951年)
『八十年史』青森営林局80年史編集委員会(1966年)

外部リンク

『国有林 下巻』 （国立国会図書館デジタルコレクション）青森貯木場
森林鉄道/林野庁HP 画像
編集長敬白アーカイブ：津軽森林鉄道跡をゆく。（上） - 鉄道ホビダス（インターネットアーカイブ）
編集長敬白アーカイブ：津軽森林鉄道跡をゆく。（中） - 鉄道ホビダス（インターネットアーカイブ）
編集長敬白アーカイブ：津軽森林鉄道跡をゆく。（下） - 鉄道ホビダス（インターネットアーカイブ）

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