津軽百年食堂

津軽百年食堂

『津軽百年食堂』は、森沢明夫による小説であり、2011年には映画化もされた作品です。青森県にある創業から約100年続く大衆食堂を舞台に、人々の繋がりや家族の温かさを描いた物語は、多くの人々の心を捉えました。小説は青森を舞台とした連作の第一作目にあたります。

あらすじ

物語は、明治時代の弘前と現代の東京、そして弘前を舞台に展開されます。

明治時代

明治時代の弘前。大森賢治は、妹を養うために津軽蕎麦の屋台を営んでいました。彼は、青森から焼き干しを仕入れる行商人のトヨに淡い恋心を抱きます。しかし、トヨは家業を継ぐために行商をやめてしまうことに。賢治はトヨへの想いを伝えるため、彼女を追いかけます。

現代

現代。大森食堂の息子、大森陽一は、家業を継ぐことを志していましたが、父親に修行を命じられ東京へ。中華料理店での修行を経て、バルーンアーティストとして働く中で、カメラマンの筒井七海と出会います。故郷が同じ弘前ということもあり、二人は惹かれあい交際を始めます。しかし、陽一は父親の怪我の知らせで弘前に帰ることになり、七海もまた、師匠の病気をきっかけに故郷を見つめ直すため弘前へ帰ります。

弘前で再会した二人は、互いの想いを確かめ合い、陽一は家業を継ぐ決意を新たにします。そして、七海は東京でフォトグラファーとしてのキャリアを続けながら、陽一と共に大森食堂を盛り立てていくことを誓います。

映画

2011年には映画化もされ、オリエンタルラジオの藤森慎吾と中田敦彦が主演を務めました。映画では、明治時代の賢治と現代の陽一、二つの時代の物語が交錯しながら、津軽蕎麦に込められた家族の想いが描かれています。

映画版あらすじ

明治42年、弘前。大森賢治は、焼き干しを使った出汁が評判の津軽蕎麦屋台を営んでいました。賢治は、焼き干しを仕入れるトヨに想いを寄せていましたが、なかなか想いを伝えられずにいました。

現代の東京。バルーンアーティストの陽一は、カメラマンの七海と出会い、ひょんなことからルームシェアをすることになります。実は二人とも弘前出身で、陽一の実家は100年続く大森食堂でした。父との確執から家を飛び出した陽一でしたが、父の入院をきっかけに帰郷を決意します。

同じ頃、七海も師匠の病気をきっかけに弘前へ帰ります。故郷で再会した二人は、互いの過去と向き合い、新たな一歩を踏み出そうとします。そして、陽一は祖母の死をきっかけに、大森食堂を継ぐことを決意。満開の桜の下、それぞれの想いが交錯する感動的な物語です。

キャスト

大森陽一：藤森慎吾（オリエンタルラジオ）
大森賢治：中田敦彦（オリエンタルラジオ）
筒井七海：福田沙紀
大森哲夫：伊武雅刀

スタッフ

監督：大森一樹
原作：森沢明夫
脚本：青柳祐美子、大森一樹
音楽：坂本サトル

その他

映画公開時には、作中に登場する津軽蕎麦をモチーフにした「津軽百年食堂弁当」が発売され、話題を呼びました。

『津軽百年食堂』は、家族の絆、故郷への想い、そして何よりも「食」を通じて人々の心を繋ぐ、温かい物語です。小説、映画ともに、多くの人々に感動を与え続けています。

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