津金寉仙

津金寉仙は、1900年10月21日、長野県諏訪郡原村の武田家に生まれました。その後、同村の津金家の養子となり、津金姓を名乗ることとなります。1913年には、永明村（現在の茅野市）の湖畔学堂で学びを深め、1919年には小学校の代用教員として教職に就きました。

教員としての職務経験の後、彼は村役場で書記、そして助役を務め、さらに村会議員も歴任しました。公職に携わりながら、書道への情熱を燃やし続け、日本書道作振会、東方書道会、泰東会といった書道団体に作品を出展し、高い評価を得て入選を果たします。

書への才能を開花させた津金寉仙は、1936年に上京。そして1940年には、自身の書道教室である凌雲書院を設立し、本格的に書道家としての道を歩むことを決意しました。翌1941年には、銀座の老舗香料店である鳩居堂で個展を開催し、多くの人々の前で自身の作品を発表する機会を得ます。

書道家としての活動は多岐に渡りました。1949年には書道雑誌『書道大観』を主宰し、日本の書道界の発展に大きく貢献しました。さらに、1952年、1956年、そして1959年には、権威ある展覧会である日展の審査員を務め、その高い評価と技量を認められました。

彼の才能と貢献は広く認められ、1959年には文部大臣賞を受賞しました。また、全国書美術振興会の常任理事として、日本の書道界全体の振興にも尽力しました。

数々の功績を残した津金寉仙でしたが、1960年10月16日、東京都武蔵野市の自宅で永眠しました。彼の死は日本の書道界に大きな損失をもたらしましたが、その功績は後世に長く語り継がれています。なお、彼の四男である津金孝邦氏も書家として活躍しており、津金家の書道への情熱は現在も受け継がれています。

津金寉仙の生涯は、地方の小さな村から出発し、日本の書道界の第一線で活躍した、努力と才能に満ちた人生でした。彼の作品は、力強く、繊細で、観る者の心に深く訴えかけるものがあります。彼の功績は、参考文献として挙げられている『信濃人物誌』（1962年）や『長野県歴史人物大事典』（郷土出版社、1989年）などに詳細に記されています。これらの文献は、津金寉仙の生涯と業績を理解する上で貴重な資料となっています。

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