津金沢聡広

津金沢聡広：メディア研究のパイオニア

津金沢聡広氏（1932年11月8日-2022年2月19日）は、日本の社会学、メディア研究において重要な役割を果たした学者です。関西学院大学名誉教授として、長年にわたり教育・研究活動に尽力し、戦前期から戦後にかけてのメディア史、特に宝塚歌劇の宣伝戦略に関する研究で知られています。

群馬県に生まれた津金沢氏は、京都大学教育学部を卒業後、関西学院大学教授に就任。2000年には『現代日本メディア史の研究』で博士（社会学）の学位を取得しました。その研究は、現代日本のメディア発展の過程を深く掘り下げ、歴史的・社会学的視点から多角的に分析したものでした。定年退職後は名誉教授となり、桃山学院大学特任教授も務めました。

研究テーマの多様性と深さ

津金沢氏の研究は、メディア史にとどまりません。宝塚歌劇の研究では、その興隆を支えた独自の宣伝戦略を分析し、エンターテインメントと社会の関わりについて新たな視点を提示しました。また、村嶋歸之著作選集の編纂にも携わるなど、幅広い分野にわたる知見と深い洞察力を持ち合わせていました。

学術的な活動に加え、津金沢氏は1976年には桑原武夫、鶴見俊輔、多田道太郎、井上俊らとともに現代風俗研究会を設立し、社会の風俗や文化を多角的に探究する活動にも貢献しました。この研究会は、現代社会の多様な側面を理解する上で貴重な役割を果たしました。

主要な著作物

津金沢氏は数多くの著書、共編著を発表し、日本のメディア研究に大きな影響を与えました。代表的な著作としては、『マス・メディアの社会学 情報と娯楽』、『宝塚戦略 小林一三の生活文化論』、『現代日本メディア史の研究』などがあります。これらを通じて、氏はメディアの社会への影響、メディアと社会の相互作用、メディアにおける文化の役割などを詳細に論じています。

また、『マンガの主人公』、『放送論概説』、『マスコミを学ぶ人のために』など、共編著も多く手がけています。これらの著作は、メディア研究者のみならず、広く一般読者にも分かりやすく、メディアリテラシーの向上に貢献しました。

さらに、『内閣情報部情報宣伝研究資料』全8巻の編纂など、歴史資料の整理・研究にも積極的に取り組みました。これらの活動は、日本のメディア研究の基盤を築く上で重要な役割を果たしました。

日本のメディア研究への貢献

津金沢聡広氏の研究は、単なる学問にとどまらず、現代社会におけるメディアの役割を理解する上で不可欠な視点を提供しました。氏の著作や研究活動は、日本のメディア研究の発展に多大なる貢献をし、後世の研究者たちに多大な影響を与え続けています。その功績は、長く記憶されるべきものです。89歳での逝去は、日本の学界にとって大きな損失となりました。しかし、氏の残した著作は、これからも多くの読者や研究者たちに学びと示唆を与え続けるでしょう。

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