津金澤督雄

津金澤 督雄

医学者、津金澤 督雄（つがねざわ おさお）は、愛知県に生まれ、主に法医学の分野で多大な貢献をした人物です。鹿児島大学で長年にわたり研究と教育に携わり、同大学の名誉教授の称号を得ています。

生い立ちと教育

数学教師であった父を持つ家庭に育った津金澤氏は、その影響か、幼い頃から理数系科目への強い適性を示しました。特に、愛知県立津島高等学校在学中は、学業成績において常にトップの座を占めるほど優秀でした。同校を1952年（昭和27年）に卒業し、医学の道を志しました。

経歴

大学卒業後、津金澤氏はキャリアをスタートさせます。千葉大学で助手として勤務した後、石川県金沢市にある金沢医科大学に移り、そこで約6年間にわたり経験を積みました。その後、1980年（昭和55年）9月初旬に鹿児島大学の教官として着任。以来、18年間にわたり鹿児島の地で医学研究と教育に尽力しました。

1966年には千葉大学より医学博士号を授与されており、その際の博士論文は「摂取食物の形態学的研究 : 摂取魚類の種属鑑別」という興味深いテーマでした。この論文は、摂取された食物の形態を詳細に分析することで、魚類の種属を識別するという、法医学や病理学に応用可能な研究の一端を示すものです。

法医学者としての功績

津金澤氏の医学者としての主な専門は法医学でした。特に、その手先の器用さは法医学の分野で大いに活かされ、人体解剖においては比類なき技術を発揮しました。その卓越した技能は医学界で高く評価され、「国手」と称されるほどでした。これは、国内でも指折りの解剖技術を持つ者だけが与えられる尊称であり、彼の技術レベルの高さを物語っています。

主な研究活動

鹿児島大学医学部法医学分野において、津金澤氏は多岐にわたる研究に取り組みました。代表的な研究テーマとしては、以下のようなものが挙げられます。

1997年〜1998年：「不明瞭な皮膚圧迫痕跡の組織学的識別に関する研究」
1995年〜1996年：「AB型活性糖鎖の免疫化学的および免疫血液学的特性に関する研究」
1988年〜1989年：「交叉反応性抗AB抗体の特性に関する研究」

これらの研究は、証拠の分析や個人識別の精度向上に貢献するなど、法医学の進歩に寄与するものでした。

人物像

学究肌である一方で、津金澤氏は温厚で人間味あふれる一面も持ち合わせていました。作家、司馬遼太郎の代表作である「坂の上の雲」を諳んじることができ、歴史や文学への造詣の深さを示していました。また、勤務地の縁もあってか、薩摩藩やその文化に深い愛情を抱く薩摩贔屓としても知られていました。さらに、酒豪としても有名で、特に薩摩の特産品である芋焼酎をこよなく愛したと言われています。

退職と名誉教授

鹿児島大学において18年間の長きにわたり教鞭を執った後、1999年（平成11年）3月31日をもって定年により退職しました。その長年の功績と貢献が認められ、同年、鹿児島大学名誉教授の称号を授与されました。

津金澤督雄氏は、卓越した技術を持つ法医学者として、また教育者として、日本の医学界に確かな足跡を残しました。

参考文献

津島高校同窓会名簿
* 鹿大広報NO.149

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