洪天貴福

洪天貴福（こう てんきふく）は、太平天国の第2代天王として知られています。彼は初代天王である洪秀全の長男として生まれ、当初は天貴という名前でしたが、後に福の字が加えられました。

1851年、父の洪秀全が太平天国を建国すると、洪天貴福は幼いながらもその地位を確立しました。1864年、洪秀全が亡くなると、彼は天京（南京）で幼天王として即位しました。しかし、その治世は長くは続きませんでした。

同年7月、太平天国の首都である天京が清軍によって陥落すると、洪天貴福は江蘇省東壩へ逃れ、その後安徽省広徳、浙江省湖州へと転々としました。彼は、江西省、広東省、福建省一帯で活動していた李世賢の元へ向かおうとしましたが、10月9日、清軍の待ち伏せに遭い敗北し、さらに逃亡を余儀なくされました。

しかし、逃亡も長くは続かず、10月25日に江西省石城県の荒山で捕らえられてしまいました。捕らえられた洪天貴福は、江西巡撫の沈葆楨によって南昌に送られ、11月18日、凌遅刑という非常に残虐な方法で処刑されました。彼は処刑時、満15歳を目前にしており、凌遅刑に処された者の中で最年少であったとされています。処刑の際、彼は大泣きしながら約1400回も切りつけられ、その苦痛の中で命を落としたと伝えられています。

洪天貴福の生涯は、太平天国の興亡という激動の時代に翻弄された悲劇的なものでした。幼くして天王という重責を担いながらも、その力を十分に発揮する間もなく、若くして命を落とした彼の運命は、太平天国の儚い夢を象徴するかのようです。

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