李世賢

李世賢（り せいけん、Lǐ Shìxián、1834年 - 1865年）は、中国清朝末期の太平天国の指導者の一人です。広西省梧州府藤県の出身で、同じく太平天国の重要な指導者であった忠王李秀成の従弟にあたります。その軍事的な才能と勇敢さから、太平天国の中で重要な地位を占めるようになりました。

太平天国は、初期の勢いを失い、内部抗争である天京事変や、有力な指導者であった翼王石達開の離脱によって、深刻な人材不足に陥っていました。その中で、李世賢は勇猛果敢な人物として頭角を現し、太平天国軍の重要な将軍として活躍します。

咸豊8年（1858年）、李世賢は左軍主将に任命され、軍の指揮を執るようになります。さらに咸豊10年（1860年）には、その功績から侍王に封じられ、太平天国軍における地位を確固たるものとしました。同年には、第二次江北大営攻略や第二次江南大営攻略といった重要な作戦に参加し、太平天国の勢力拡大に貢献しました。

咸豊11年（1861年）には、李世賢は浙江省に進軍し、金華を陥落させました。この金華は、太平天国にとって浙江省における重要な根拠地となり、その後の活動の拠点となりました。しかし、同治元年（1862年）になると、太平天国の首都であった天京が湘軍によって包囲されるという事態に直面しました。そのため、李世賢は金華に部下の李尚揚を残し、自らは天京救援のために奔走します。

同治3年（1864年）、天京では深刻な食糧不足が発生しており、李世賢は食糧確保のために江西省を転戦していました。しかし、同年7月には、ついに天京が陥落し、太平天国は大きな打撃を受けます。幼天王洪天貴福は李世賢軍との合流を試みましたが、李世賢自身は広東省にいたため合流は叶わず、洪天貴福は清軍に捕らえられてしまいます。

天京陥落後、李世賢は福建省に転戦し、同年10月には漳州を占領し、ここを新たな根拠地としようとしました。しかし、清軍の左宗棠による猛攻を受け、同治4年（1865年）5月には壊滅的な打撃を受け、部下の劉肇鈞や潘起亮を失いました。同年8月には、広東省鎮平で康王汪海洋が率いる太平天国軍の下に逃れましたが、その数日後、汪海洋によって殺害されてしまうという悲劇的な結末を迎えました。

李世賢は、太平天国末期における重要な指導者の一人であり、その勇猛さと軍事的な才能は高く評価されています。しかし、太平天国が衰退していく中で、その活躍は実を結ぶことなく、悲劇的な最後を遂げました。彼の生涯は、太平天国の興亡を象徴する出来事の一つとして語り継がれています。

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