洪楠基

洪楠基（ホン・ナムギ）の経歴と政治活動

洪楠基（ホン・ナムギ、韓国語: 홍남기、1960年7月29日 - ）は、韓国の官僚であり、政治家です。2018年12月から2022年5月まで、文在寅政権下で経済副首相兼企画財政部長官を務めました。また、2021年4月には、約1ヶ月間、国務総理（首相）権限代行を務めた経験も持ちます。本貫は南陽洪氏です。

生い立ちと学歴

1960年、江原道春川市で生まれた洪楠基は、漢陽大学校大学院で経済学を修了した後、イギリスのサルフォード大学大学院でも経済学を学びました。これらの教育背景が、後の経済政策における専門性を支えています。

官僚としてのキャリア

1986年に行政高等考試に合格し、企画予算処（現在の企画財政部）に入省しました。盧武鉉政権時代には大統領秘書室の経済政策首席室で政策補佐官を務めるなど、要職を歴任しました。企画財政部では、スポークスマンや政策調整局長などを務め、朴槿恵政権時代にも大統領秘書室で経済政策補佐官を務めました。2016年には未来創造科学部に移り、第1次官を務め、2017年には国務調整室室長に就任しました。

経済副首相兼企画財政部長官

2018年、文在寅政権で経済副首相兼企画財政部長官に任命され、経済政策の中心人物として活動しました。しかし、与党である共に民主党との間では、政策方針をめぐって対立することも少なくありませんでした。例えば、新型コロナウイルス感染症の流行下では、貧困層への災害支援金の支給を主張しましたが、全国民への支給へと方針が変更されました。また、大株主に対する株式の譲渡所得税の基準引き下げについても、与党との間で意見の相違がありました。

これらの対立から、洪楠基は2020年11月に文在寅大統領に辞表を提出しましたが、慰留され続投しました。

国務総理権限代行

2021年4月、丁世均首相の辞任に伴い、国務総理権限代行を務めました。その後、金富謙が首相に任命されたことで、同年5月に権限代行を退任しましたが、企画財政部長官には留任しました。

洪楠基の政策と主張

洪楠基は、韓国経済の成長と安定を重視した政策を推進しました。2019年には、GDPがマイナス成長に転落したことを受け、関係閣僚を招集し、経済成長目標達成に向けてあらゆる政策を動員すると述べました。世界経済の鈍化による輸出の減少や企業による設備投資の抑制を指摘し、企業の投資環境改善を指示しました。また、規制を一時的に停止する「サンドボックス」制度を導入し、新事業創出を促進する政策を推進しました。

また、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に際しては、G20財務相・中央銀行総裁会議に参加し、各国中央銀行間の通貨スワップ拡大を提言するなど、国際的な協力体制の強化にも尽力しました。

対日政策

洪楠基は、対日関係においても重要な役割を担いました。2019年7月、日本政府が韓国向けの輸出管理を厳格化した際には、緊急対策会議を主催し、対抗措置を協議しました。また、韓国のラジオ番組に出演し、日本政府の措置を「強制徴用に関する司法判断に対する経済報復」と批判し、WTOへの提訴も辞さない構えを示しました。

まとめ

洪楠基は、韓国の経済政策を担う重要な人物として、その手腕が注目されました。経済副首相兼企画財政部長官として、韓国経済の成長と安定を目指し、様々な政策を推進しました。また、国際的な舞台でも活躍し、世界経済の安定に貢献しました。対日関係においては、日本政府の輸出規制措置に対して断固たる姿勢を示し、韓国の立場を主張しました。

参考資料

* Minister of Economy and Finance（英語）

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