活字

活字の概要

活字（かつじ）とは、主に活版印刷に使用される凸型の文字型のことであり、狭義には金属製の文字を指します。活字は文字の形状が逆さまに彫られたもので、インクを付着させた後に紙に圧力をかけることで印刷されます。活字には、原則として一つの文字が彫られていますが、特殊な場合では二文字が組み合わさった活字も見られます。

活字の種類と製造法

古くは木製の活字が用いられていましたが、年代が進むにつれて金属製の活字が主流となりました。金属製の活字は「彫刻活字」と「鋳造活字」に大別されます。

彫刻活字

彫刻活字は、新しい印刷物を作成するために、彫刻刀で文字を彫ったもので、初期の活字は主に木製でした。この方法は特殊な用途に用いられていました。

鋳造活字

鋳造活字は、高麗時代の韓国で始まり、金属合金の母型を用いて大量に同一文字を製造可能にした技術です。特に、グーテンベルクによって再現された鉛合金を使用した鋳造法は、近現代活字印刷の基礎を築きました。

活字のサイズ

活字は欧米では「ポイント」という単位でサイズを示し、日本でもこれに部分的に統一されています。一般的に、書籍に使用される活字のサイズ範囲は4ポイントから36ポイントです。日本語の活字は、基準サイズの「号数」で表示されることが多く、古くからの伝統があります。

活字の高さと横幅

金属活字は、高さ（柱状体の長さ）が規格によって統一されています。高さが不揃いだと印刷面が凹凸になり、品質に影響が出ます。さらに、文字ごとの横幅も英語の活字と日本語の活字で異なり、日本語のものは基本的に正方形形状を持っています。

活字の歴史

活字の起源は中国に遡り、畢昇によって膠泥を利用した最古の活字が作られたとされています。現存する最古の印刷物は北宋の「観無量寿経」であり、活字印刷技術はどのように発展したかが示されています。その後、グーテンベルクがドイツで活字印刷を実用化し、ヨーロッパでの広まりを見せました。

活字使用の変化

活字は戦前から1980年代までの時代、書籍印刷の主流でしたが、その後は写植やDTPなど新しい技術の普及により、活版印刷の需要が激減しました。現在では、特定の用途での使用に限定され、印刷業界全体がデジタル化の波に飲み込まれています。

現代における活字

現代には、名刺やはがきなどに微かに用いられる一部の印刷業者がいるだけで、ほぼ絶滅状態にあると言えます。金属活字の鋳造技術を保持している職人も減少しており、希少価値が高まっています。活字が持つ独特の風合いを楽しむ少数の顧客のためだけに、今なお活動を続ける業者も存在しています。活字の歴史とその技術的背景を理解することは、印刷技術の進化を学ぶうえでの重要な鍵となるでしょう。

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