流行通信

流行通信について

『流行通信』は、日本のファッション雑誌であり、その歴史は1966年まで遡ります。創刊当初は『森英恵流行通信』という名前で、デザイナー森英恵のPR誌としての側面が強くありました。その後、1969年に『流行通信』と改名し、一般的なファッション誌としての道を歩み始めました。

ファッション誌からアート・カルチャー誌へ

単なるファッション誌に留まらず、アートやカルチャーにも焦点を当てた誌面作りが特徴で、多くのクリエイターに影響を与えました。アートディレクターには、横尾忠則、浅葉克己、長友啓典、高原宏、藤本やすし、服部一成など、日本を代表する著名なクリエイターたちが名を連ねました。また、カメラマンとしても、篠山紀信、荒木経惟、稲越功一、上田義彦、大森克己、操上和美、沢渡朔、十文字美信、田原桂一など、各時代を代表するトップフォトグラファーたちが参加し、誌面を彩りました。このことから、『流行通信』は日本の最先端アート・カルチャーシーンのショーケースとしての役割も担っていたと言えるでしょう。

組織の変化と人材輩出

1983年には、安藤忠雄設計による「流行通信ビル」が建設され、出版事業部と映像事業部の二事業部体制となりました。この時期には優秀な人材が数多く入社しましたが、同時に編集長であった川村容子の文藝春秋への転職をはじめ、多くの社員が他社へ転職したことから、「出版業界の飛行場」とも呼ばれました。しかし、この時期に在籍していた人材の中には、木津由美子（ハーパスバザー編集長）、駒田浩一（世界文化社取締役広告本部長）、高田秀之（宝島社）、岡田晴彦（ダイヤモンド・ビジネス企画取締役・編集長）、池田稔（『miss家庭画報』『マリ・クレール』元編集長）など、後に各方面で活躍する人材を輩出しました。特に営業部出身者の活躍が目立っていたようです。

社名変更と休刊、そして復刊

1980年代後半には、出版社名が株式会社流行通信から株式会社流行通信社へと変更され、さらに2003年には株式会社INFASパブリケーションズとなりました。

2008年1月号をもって一度休刊となりましたが、その後、WWDの日本語版である『WWD JAPAN』の別冊季刊誌『WWD流行通信』として復刊しました。復刊後は、有名芸能人やスポーツ選手がハイブランドの衣装を身にまとって登場する誌面構成で、年3回から4回程度発売されていました。

しかし、2022年2月現在、INFASパブリケーションズの出版物一覧に『流行通信』の名前はなく、現在は刊行されていないようです。

まとめ

『流行通信』は、日本のファッション雑誌として長い歴史を持ち、数多くのクリエイターや才能ある人材を輩出してきました。ファッションだけでなく、アートやカルチャーにも影響を与え、常に時代の最先端を走る雑誌でした。その影響力は、日本のファッション史、アート史に深く刻まれています。

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