浄光寺 (葛飾区)

浄光寺について

浄光寺（じょうこうじ）は、東京都葛飾区東四つ木1丁目に位置する重要な天台宗の寺院です。この寺は、木下川薬師としても親しまれています。その歴史的背景は非常に古く、創建されたのは嘉祥2年（849年）とされ、下野国の大慈寺に所属していた僧侶・広智によって設立されたと伝えられています。

広智は、薬師如来像の安置場所を求めていた際に、下総国の木下川で唱翁という老人と出会いました。この出会いがきっかけで、彼はその老人の草庵に薬師仏像を安置することとなり、これが浄光寺の始まりとされています。貞観2年（860年）には、僧慶寛の命により、草庵が寺院へと発展し、「浄光寺」の名が付けられました。

その後、鎌倉時代や室町時代にかけて、浄光寺は戦乱によってしばしば荒廃しましたが、関東管領であった上杉憲実などの力により度々復興を果たしました。戦国時代に徳川家康が江戸に入ると、寺院は五石の朱印地を賜り、格式を兼ね備えた重要な場所となりました。

江戸時代に入ると、浄光寺は徳川幕府の祈願所として指定され、将軍家からも信仰を集めました。例えば、徳川吉宗の時代には、鷹狩りの際の御膳所に定められるなど、特に重要視されました。また、幕府の寺請制度により、浄光寺は浅草寺と本末関係を結び、江戸近郊で名の知られた寺院として栄えました。

本尊の薬師如来が人気の理由は、病気平癒に与える霊験あらたかさにあります。そのため、江戸市民から多くの参詣者が訪れ、特に杜若の名所としても知られています。幕末には、幕臣である勝海舟も訪れ、西郷隆盛留魂碑を建立したり、直筆の書を残したりしました。

天保年間に本堂が焼失したものの、明治時代の復興によって約3000坪の敷地に本堂や薬師堂などの建物が整備され、参詣者は途切れることがありませんでした。大正8年（1919年）には荒川放水路の開削に伴い、現在の位置に移転しました。その後も関東大震災や太平洋戦争に見舞われましたが、浄光寺はその都度復興を果たしました。さらに、平成時代に入ると、1995年には旧地にあった仁王像の修復と当寺の山門への移転が行われ、1998年には新たな薬師堂が完成しました。

本尊の薬師如来像は、12年に一度だけ特別に開帳され、最近では2022年にその機会がありました。浄光寺にはさまざまな施設があります。例えば、薬師堂には本尊の薬師如来像が安置されており、釈迦堂、大師堂、仁王門（寛文3年（1663年）の仁王像が鎮座）などがあります。また、加藤ひな子の碑や山田顕義の歌碑、生田蝶介の歌碑などもあり、その歴史的な価値を伺わせます。

アクセスも便利で、京成押上線の四ツ木駅から徒歩約11分、JR総武線の新小岩駅からバス利用で「木下川薬師前」下車後徒歩2分の距離です。拝観は無料で、日中に受け付けています。駐車場も整備されていますので、近くを訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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