浄厳院

浄厳院（じょうごんいん）の紹介

浄厳院は、滋賀県近江八幡市安土町慈恩寺に位置する浄土宗の寺院です。山号は金勝山となっており、主に阿弥陀如来を本尊としています。浄厳院は金勝山慈恩寺としても知られ、数世代にわたる歴史と伝承が息づいています。

歴史的背景

浄厳院が建てられた場所には、正平年間（1346年 - 1370年）に近江守護の佐々木六角氏により設立された天台宗の慈恩寺威徳院が存在していました。しかし、慈恩寺はその後兵火によって焼失してしまいます。

1584年、織田信長が近江国栗太郡金勝山から浄土宗の僧、浄厳坊明感を安土に呼び寄せ、旧慈恩寺の地点に新たな寺院として浄厳院が設立されました。この際、信長は本堂や本尊などを他所から移転し、特に興隆寺の弥勒堂を本堂にし、阿弥陀如来坐像も愛知県から移したと言われています。

ただし、阿弥陀如来坐像は地元の伝承によると、元々犬上郡甲良町にあった二階堂宝蓮院の本尊が信長により奪取されたとされています。移送中、像の向きが元あった場所に戻ろうとしたという逸話もあり、信長の訪問は単なる寺院の創設に留まらない重要な出来事とされました。

さらに、1579年には信長の命により、浄土宗と日蓮宗の僧による宗論が行われました。この論争は浄厳院で行われ、その結果に日蓮宗が敗北を喫したとされていますが、これは信長の政治的意図が強く働いていたとも言われています。

境内の見所

浄厳院の境内には、いくつかの重要な建物や文化財があります。特に本堂は重要文化財に指定されており、入母屋造の本瓦葺きです。正面は7間、側面は6間の構造を持っており、その美しいデザインは訪れる人々を魅了します。

また、鐘楼や不動堂も近江八幡市の指定有形文化財として重要な位置を占めており、釈迦堂や北門、庫裏、楼門なども境内に点在しています。中でも楼門は室町時代の後期に建てられ、慈恩寺の門を流用したものであり、その歩んできた歴史を物語っています。

文化財

浄厳院には多くの文化財が収められており、その中には重要文化財に指定された本堂や楼門、木造の阿弥陀如来坐像、厨子入の銅製舎利塔、銀造の阿弥陀如来立像などがあります。特に、銀製の仏像は非常に珍しく、収の歴史的価値も極めて高いと言えるでしょう。

アクセス

浄厳院はJR東海道本線の安土駅から徒歩で約10分です。また、同駅または近江八幡駅からは、あかこんバスを利用して浄厳院停留所までアクセスすることも可能です。アクセスの便が良く、多くの訪問者に親しまれています。

浄厳院はその歴史と文化、見どころに満ちた場所であり、訪れる人々に静かで深い感動をもたらしています。この場所を訪れる際には、しっかりとその歴史にも思いを馳せながら散策してみてください。

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