浅利妙峰

浅利妙峰（あさり みょうほう）

浅利妙峰氏は、1952年生まれ。大分県佐伯市に位置する、元禄2年（1689年）創業という歴史を持つ麹食品専門店・糀屋本店の9代目社長です。「こうじ屋ウーマン」という愛称で親しまれ、日本の伝統的な麹文化の普及と伝承に情熱を注いでいます。

来歴

浅利氏は、糀屋本店の長女として誕生。幼少の頃から家業に親しみ、1972年に糀屋本店に入社しました。しかし、時代とともに食生活が変化し、味噌や醤油、甘酒といった伝統的な食品は家庭で作るものから購入するものへと移行。麹の需要は年々減少し、2005年には8代目の幸一氏が体調を崩し、店の存続が危ぶまれる事態となりました。

浅利氏は、この状況を打破しようと、古い文献を徹底的に調べました。そして、江戸時代の文献『本朝食鑑』の中に、漬物床としての「塩麹漬」の記述を発見。そこからヒントを得て、半年間の試行錯誤を重ねた結果、2007年に調味料としての塩糀を商品化することに成功しました。同時に、店頭での講習会やブログ、著作を通じて、塩糀を使ったレシピを積極的に公開しました。

この塩糀は、徐々に口コミで評判が広がり、2011年には塩麹ブームが到来。浅利氏が自ら開発した塩糀の「黄金比率」や使い方を公開していたこともあり、大手メーカー各社も塩麹の商品化に参入しました。その結果、2011年には2億円だった麹業界の売り上げが、翌2012年には31倍の62億円にまで跳ね上がったとされています。

2012年からは、糀屋本店の9代目社長（代表取締役）に就任し、伝統を守りつつも、新たな挑戦を続けています。塩糀以外にも、甘酒を砂糖の代わりに用いるなど、麹を使った製品の研究開発に力を入れています。また、その活動は国内にとどまらず、欧米、南米、アジアへと渡り、麹文化の普及活動を積極的に行っています。

浅利氏は、その功績が認められ、2013年には平成25年度「女性のチャレンジ賞」を受賞するなど、数々の賞を受賞しています。

著書

『温故知新の「糀レシピ」』 糀屋本店、2009年5月
『糀屋本店の塩麹レシピ』 PHP研究所、2011年11月、ISBN 978-4-569-80063-9
『ひとさじで料亭の味! 魔法の糀レシピ』 講談社、2011年12月、ISBN 978-4-062-99547-4
『浅利妙峰が伝えるはじめての糀料理』 西日本新聞社、2012年1月、ISBN 978-4-816-70841-1
前橋健二 共著『旨みを醸し出す 麹のふしぎな料理力』 東京農業大学出版会、2012年7月、ISBN 978-4-886-94412-2
大部正代 共著『糀でつくる一汁三菜 イキイキごはんで適量生活』 西日本新聞社、2013年3月、ISBN 978-4-816-70859-6
『浅利妙峰の母になるとき読む本』 致知出版社、2014年3月、ISBN 978-4-800-91027-1
『糀屋本店の手作り麹調味料で元気ごはん』 オレンジページ、2016年8月、ISBN 978-4-865-93084-9
浅利定栄 共著『麹パワーできれいになる 糀屋本店の幸せごはんレシピ』 オレンジページ、2018年7月、ISBN 978-4-865-93244-7

受賞歴

2012年11月 平成24年度「大分合同新聞文化賞」受賞（大分合同新聞社）
2012年11月 平成24年度「佐伯市表彰」受賞（大分県佐伯市）
2013年3月 平成24年度「大分県女性のチャレンジ賞」受賞（大分県）
2013年6月 「女性のチャレンジ賞」受賞（内閣府男女共同参画局）
2013年8月 平成25年度「市長賞詞」受賞（大分県佐伯市）

テレビ出演

2012年8月、日本放送協会「プロフェッショナル 仕事の流儀」
2017年3月、テレビ東京「日経スペシャル カンブリア宮殿」

浅利妙峰氏は、伝統を守りながらも、常に新しい可能性を追求し、麹文化の未来を切り開くパイオニアとして、今後ますますの活躍が期待されています。

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