浅木泰昭

浅木 泰昭について

浅木泰昭（あさき やすあき）は1958年に生まれ、日本の著名な自動車技術者であり、モータースポーツ解説者としても知られています。広島県出身の浅木は、1981年に本田技研工業（ホンダ）に入社し、本田技術研究所に配属されました。彼は長いキャリアの中で、エンジン開発に多くの時間を費やし、特にホンダの軽自動車「N-BOX」やF1プロジェクトでの成果が際立っています。

経歴のスタート

浅木は入社して間もなくエンジンテストチームに配属され、その後1982年にはF1エンジンの開発チームに移りました。当時、ホンダはF1での成功を目指しており、若手の浅木は極端なビッグボア・ショートストロークエンジンのテストに関わっていました。しかし、このエンジンの不均衡さを感じた彼は、上司と議論を重ね、一部の先輩からは厳しい指導を受けながらも開発に取り組みました。

市販車への軌道

1986年、浅木は市販車の開発に戻り、レジェンドや初代オデッセイなどのエンジン開発に携わります。特に、初代オデッセイの開発においては上司との対立があったものの、彼は4気筒エンジンの開発に情熱を注ぎました。そのため、彼が開発したエンジンは多くのホンダの車両に搭載され、高い評価を得ることとなります。

N-BOXの成功

2008年、浅木は新型軽自動車の開発責任者としてN-BOXのプロジェクトを引き受けます。この際、彼は工場のスタッフと密に連携し、現場に権限を委譲する「工場内開発」を導入しました。このアプローチにより、N-BOXは大成功を収め、彼は「ホンダの救世主」と称されるようになりました。

F1プロジェクトへの復帰

2017年、浅木はホンダF1のプロジェクトリーダーに任命されました。当時、彼は定年退職まで半年でありながらも、若手エンジニアたちの悩みを見て定年を延長する決断をしました。彼が担当したF1パワーユニット（PU）は、2021年と2022年にマックス・フェルスタッペンがドライバーズチャンピオンに輝くのを支えました。

退職後の活動

ホンダがF1活動を終了した後、浅木はホンダ・レーシング（HRC）に移籍し、次のステップとしてPUの開発および供給に関与しました。しかし、2023年4月にはHRCを退職しました。その後はDAZNの『Wednesday F1 Time』などでの評論活動を行っており、「特に誰からも声かけられていないので、予定はない」と述べています。

パーソナリティ

趣味としては釣りやゴルフ、温泉巡りがあり、2018年には定年を迎える予定でしたが、その際には「退職したら釣りにでも行こう」と考えていたと言います。彼は自身のキャリアの中で、開発案件の難易度を「VCM＞N-BOX＞F1」とランキングしています。

書籍

彼の著書『危機を乗り越える力』（2024年、集英社）は、彼がどのように困難を乗り越えつつ成長してきたかを示す一冊です。さらに、尾張正博著の『歓喜 ホンダF1 苦節7年、ファイナルラップで掴みとった栄冠』も参考文献として挙げられています。浅木の歩みは、日本の自動車技術史において非常に重要な位置を占めています。

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