浅草演芸ホール

浅草演芸ホール：浅草の笑いの中心地

浅草演芸ホールは、東京の台東区浅草、通称「公園六区」と呼ばれる歓楽街の中心に位置する、都内でも有数の規模を誇る寄席です。落語を主体とし、漫才や奇術といった様々な演芸が繰り広げられる、浅草を代表するエンターテインメント施設と言えるでしょう。東洋興業株式会社が運営しています。

規模と特徴

客席数は340席（1階239席、2階101席）と、東京の寄席の中では最大規模を誇り、お笑い専門劇場を含めてもルミネtheよしもとに次ぐ規模を誇ります。1階は全席椅子席ですがテーブルはありません。2階席へはエレベーターがなく、階段のみのアクセスとなります。場内では飲食・飲酒が可能です（ただし、酒類の持ち込みは禁止）。1階には売店と自動販売機があり、アルコール類も購入できます。楽屋は客席から見て左手の下手側にあります。かつては独特の字体で書かれたメクリや、明朝体の出演者名など、現在とは異なるデザインが用いられていましたが、いつ変更されたのかは不明です。現在では、寄席文字が用いられています。

多様な観客層と独特の雰囲気

浅草演芸ホールは、はとバスツアーなど団体客の利用も多く、招待券での入場者も少なくありません。観光地の中心に位置することから、演芸ファン以外の観客も多く、活気あふれる、賑やかな雰囲気です。その反面、客席での私語や携帯電話の着信音など、他の寄席に比べて騒がしい一面もあります。この騒がしさは、落語家もネタに取り上げるほどで、「浅草の客」といえば、賑やかで落ち着きのない客層を指す言葉として、落語ファンたちの間では知られています。

歴史と変遷

現在の浅草演芸ホールが建つ地は、明治17年（1884年）に区画整理が行われた後、「開進館勧工場」が建てられました。その後、明治40年（1907年）には映画館「三友館」が開場。戦後、昭和26年（1951年）には東洋興業が「三友館」跡地にストリップ劇場「フランス座」を開業しました。昭和34年（1959年）には「フランス座」を一時閉鎖し改築、5階建てビルの1～3階に「東洋劇場」、4～5階に「フランス座」を再開しました。

戦後、浅草に落語定席がなかったことから、落語家の二代目桂枝太郎が東洋興業に寄席開設を提案。これをきっかけに、昭和39年（1964年）、「フランス座」を改装して「浅草演芸ホール」が開場しました。昭和46年（1971年）には東洋劇場が閉鎖され、本ホールが1階に移転。その後も「フランス座」は何度か再開、閉鎖を繰り返した後、平成11年（1999年）にストリップ興行を終了しました。平成12年（2000年）には、建物の上部を改装し、「東洋館」が開場しました。

新型コロナウイルス感染症流行と対応

2020年の新型コロナウイルス感染症流行に伴い、緊急事態宣言発出中は休館。その後、感染防止対策を講じた上で営業を再開しましたが、客席数の制限や終演時間の変更、さらには、出演者や関係者の感染発生による臨時休業などを経験しました。2021年には、YouTubeチャンネルを開設し、緊急無料生配信を実施するなど、様々な対応を行いました。

プログラムと恒例行事

浅草演芸ホールでは、毎月10日ごとに落語協会と落語芸術協会が交互に興行を行っています。昼の部と夜の部があり、基本的に入れ替え制ではありません。1月を除く毎月31日には「余一会」と呼ばれる特別興行が開催され、正月初席、正月二之席など、年間を通して様々な恒例行事があります。「お笑いぱっちりバトル」、「茶番」、「アロハマンダラーズ」の演奏、「納涼住吉踊り」、「禁演[[落語]]の会」など、個性的な企画も魅力です。

アクセスとメディア出演

つくばエクスプレス浅草駅が最寄り駅で、徒歩1分とアクセス抜群です。また、多くのテレビ番組で紹介されており、寄席の雰囲気や出演者たちの様子が紹介されています。

その他

浅草演芸ホールのオーナーは「社長」と呼ばれ、現在も松倉家によって運営されています。入場者には笑三、たい平などによる番組表が配られています。看板猫の「ジロリ」も人気者で、話題を呼びました。多くの落語家たちがここで初高座を踏んでおり、浅草演芸ホールは、日本の演芸文化を支える重要な拠点となっています。

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