浅野喜起

浅野喜起：日本の経営コンサルティングを牽引した先駆者

浅野喜起(1917-2008)氏は、日本の経営コンサルティング業界において、その発展に多大な貢献を果たした著名な人物です。1917年、中国の大連市に生まれ、大阪商科大学（現大阪市立大学）卒業後、1941年に日本興業銀行（現みずほフィナンシャルグループ）に入行しました。

銀行員としてのキャリアを着実に積み重ねた浅野氏ですが、彼の名を歴史に刻むことになるのは、経営コンサルティング分野への貢献です。1962年、当時頭取であった中山素平氏から経営コンサルティング事業の立ち上げを託され、その準備のためヨーロッパへ視察に赴きました。この視察が、後の日本における経営コンサルティング業界の隆盛の礎を築くことになります。

帰国後、審査部審査研修室長を経て、1963年には経営研究部部長に就任。同氏は、この部門を率いて本格的に経営コンサルティング事業を展開しました。その手腕は高く評価され、1970年には、この経営研究部を母体として、日本経営システム株式会社が設立され、浅野氏は専務取締役に就任。その後、1973年には社長に昇格し、企業の成長と発展に貢献しました。

社長時代には、数々の企業再生や経営改革に手腕を発揮し、日本の経済界に大きな影響を与えました。1989年には会長に就任し、さらに1993年には相談役、1997年には顧問と、長年にわたり同社の発展に尽力しました。

浅野氏の功績は、経営コンサルタントとしての活動だけにとどまりません。長年の経験と知見を活かし、多くの著書を出版しました。『企業経営を成功させるには－経営のヒント』、『経営の小さなヒント』、『会社は生きもの』など、その著作は経営者やビジネスパーソンにとって貴重な指針となっています。これらの書籍は、実践的な経営ノウハウだけでなく、企業経営における人間味あふれる側面にも焦点を当てており、多くの読者に支持されました。

また、浅野氏は講演活動にも積極的に取り組み、後進の育成にも力を注ぎました。『好不況に関わらず』や『降りてゆくという生き方』といった講演は、多くの聴衆に深い感銘を与えました。

さらに、浅野氏は共著や監修にも携わっており、『ダスキン祈りの経営－鈴木清一のことば』や『会社が光る－「掃除」の実学やさしさと辛抱強さこそ』といった書籍を通じて、多様な経営哲学を紹介し、日本の経営界に多角的な視点をもたらしました。

2008年3月20日、90歳でこの世を去りましたが、その功績は日本の経営コンサルティング業界、ひいては日本の経済界全体に大きな影響を与え続け、現在も多くの経営者やビジネスパーソンに影響を与え続けています。浅野喜起氏は、まさに日本の経営コンサルティング業界におけるパイオニアであり、その功績は後世に語り継がれるべきでしょう。彼の残した著作や経験は、これからも多くの学びと示唆を与え続けることでしょう。

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