浅間丸

浅間丸（あさままる）

浅間丸は、日本郵船が運航していた貨客船で、豪華な内装が特徴的であったことから「太平洋の女王」と称されました。太平洋戦争前には、姉妹船とともに日本の海運業界を代表する存在でしたが、その後の歴史は波乱に満ちています。船名は、長野県に位置する浅間大社に由来しています。

船歴

建造

浅間丸は、北太平洋の貨客船競争の一環として、三菱造船長崎造船所で建造されました。姉妹船の龍田丸と共に、算入された秩父丸も同様の設計を持ちます。浅間丸は食堂にイタリア産の大理石を使用し、客室には当時の最新鋭の欧米製品が用いられ、その豪華さは他船と一線を画すものでした。しかし、主要設備は外国製であったため、「外国船」と評されることもありました。建造は1927年9月に始まり、1929年に竣工しました。

就航

浅間丸は1928年9月16日に長崎港を出発し、香港へ向かいました。その後、横浜を経由して初めての太平洋横断航海を行い、約570名の乗客を乗せて7日余りでホノルルへ到着しました。航海の途中、名立たる著名人も乗船し、さまざまな記録を打ち立てるなど、広く認知される存在となりました。

座礁

1937年9月、浅間丸は台風による事故で香港で座礁し、救助を要請されました。緊急救助には豪華な設備が用いられ、1年後の1938年3月には無事に浮揚の成功を果たしました。

浅間丸事件

1939年には、第二次世界大戦の影響を受け、乗客の中にドイツ人がいるという事件が発生しました。この事件は日英間の緊張を高め、国際問題にまで発展しました。

太平洋戦争

1941年、浅間丸は海軍に徴用され、補給や輸送任務に従事しました。その後もさまざまな輸送活動に参加し、外交官の交換任務や戦時中の人員輸送など多岐にわたった活動を行いました。

魚雷による沈没

1944年、浅間丸はアメリカ潜水艦の攻撃を受け、最後の航海を迎えます。沈没した際には473人が命を落とし、多くの人的被害をもたらしました。この任務は、浅間丸の長い歴史の幕を閉じることとなりました。

歴代船長

浅間丸の歴代船長は、四宮源三郎から始まり、数名が任にあたりました。その中には臨時の船長も含まれ、戦時中の混乱の中で船を守る役割を果たしました。

まとめ

浅間丸は単なる船ではなく、日本の海運史を象徴する存在であり、その背景には様々な歴史的出来事が織り交ぜられています。

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