浅間造

浅間造（せんげんづくり）は、日本の神社建築における独特な様式の一つです。この様式は、社殿の上にさらに別の社殿が載るという、二階建て構造を持つ点が最大の特徴です。神社建築としては非常に珍しい形式であり、その代表例として富士山本宮浅間大社が挙げられます。

浅間造の基本的な構造は、正面五間、側面四間の入母屋造または寄棟造の社殿の上に、三間社流造の本殿が建てられるという二重の楼閣構造となっています。注目すべき点として、神座は上層に設けられていることが挙げられます。また、拝殿においても、同様に二重構造を持つものは浅間造と呼ばれます。

この独特な建築様式は、全国に1300社以上存在する浅間神社の中でも、以下の4社にのみ見られるとされています。

富士山本宮浅間大社：本殿が浅間造です。
静岡浅間神社：拝殿が浅間造です。
多摩川浅間神社：本殿が浅間造です。
浅間神社（横浜市西区）：本殿が浅間造です。

これらの神社は、浅間造の貴重な遺構として、建築史的にも重要な意味を持っています。

特に、富士山本宮浅間大社の浅間造は、建立を命じた徳川家康の意向が強く反映されているとされています。家康は、「富士山が正面に見える位置で神にお供えをしたい」という願いを持っており、そのためにこの特別な二重構造の社殿が採用されたと考えられています。このことから、浅間造は単なる建築様式を超え、歴史的な背景や人々の信仰心が深く結びついていることがわかります。

浅間造は、その珍しい構造と歴史的背景から、神社建築に関心のある人々だけでなく、歴史や文化に興味を持つ人々にとっても、非常に魅力的なテーマとなっています。各神社を訪れる際には、その独特な建築美を堪能し、背後にある歴史や信仰についても深く考察することで、より豊かな体験が得られるでしょう。

もう一度検索