多摩川浅間神社

多摩川浅間神社 (たまがわせんげんじんじゃ)

多摩川浅間神社は、東京都大田区田園調布にある歴史的な神社であり、旧下沼部村の鎮守として知られています。正式な宗教法人名は浅間神社です。この神社は全国に点在する浅間神社の一つで、東京都内では唯一の浅間造りの本殿を持っています。

概要

多摩川浅間神社は、富士山の信仰に根ざした場所です。その社殿は、浅間神社古墳の上に位置し、東急東横線を挟んで多摩川台公園の舌状台地に接しています。参道には多くの溶岩が敷かれ、まるで富士山への登山を模倣したような造りになっており、訪れる人々に富士登山の雰囲気を感じさせます。また、この神社では主祭神に木花咲耶姫命を迎え、熊野神社、赤城神社と合祀されています。

歴史

多摩川浅間神社の起源は古代にさかのぼり、社地には前方後円墳が築かれていたことが知られています。本殿はその後円部にあたる部分に建てられ、創建は鎌倉時代の文治年間（1185年～1190年）とされています。

伝えられるところによると、源頼朝が出陣する際、妻である北条政子が彼の安寧を願い、この地に留まりました。政子は山に登り、そこで富士山の鮮やかな姿を目にし、富士吉田の浅間神社に手を合わせたという逸話があります。この出来事が契機となり、地元の人々は政子が建立した正観世音像を「富士浅間大菩薩」と呼び、祀るようになりました。

1652年には、神社の境内で正観世音の立像が発掘されました。その際、像の片足が損傷していたため、新たに足が鋳造され、祭りが行われることとなりました。現代でも6月には祭礼が行われ、長い伝統が受け継がれています。

1907年には、合祀のための政令により、赤城神社と熊野神社が当社に合祀され、現在の形が成り立っています。

境内と摂末社

境内にはさまざまな摂末社が点在し、中には阿夫利神社、三峯神社、稲荷神社、小御嶽神社などが存在します。また、境内の富士講の中興の祖を称える食行身禄の石碑もあり、明治15年に地元の講社によって建てられました。石碑の文字は勝海舟が寄せ書きしたものとして価値があります。

氏子地域

神社の氏子地域に含まれるのは、大田区の田園調布一丁目（64番を除く）、二丁目、三丁目、本町、南（7番を除く）、西嶺町、鵜の木三丁目など。そして、世田谷区の玉川田園調布一丁目の一部も含まれています。

アクセス

多摩川浅間神社は、東急電鉄の多摩川駅から歩いて2分の距離に位置し、アクセスが非常に良好です。訪れる際には徒歩でアクセスできるため、多くの人々が手軽に訪問しています。

多摩川浅間神社は、自然の美しさと歴史的背景を兼ね備えた神聖な場所で、訪れる人々に富士山への思いを抱かせています。

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