浜松交響吹奏楽団

浜松交響吹奏楽団（はままつこうきょうすいそうがくだん、英称：Hamamatsu Symphonic Wind Orchestra、略称：HSWO）は、日本の静岡県浜松市で活動するアマチュア吹奏楽団です。長い歴史を持ち、地域に根ざした活動を続けながら、全日本吹奏楽コンクールでの顕著な成績や独自の音楽活動を通じて、国内の吹奏楽界で重要な位置を占めています。

楽団概要

当楽団は、主に浜松市近郊の社会人や大学生、専門学校生などで構成されており、現在70名以上の団員が在籍しています。毎週日曜日に浜松市内の公共施設などを練習場として利用し、音楽技術の向上に励んでいます。

活動内容は非常に多岐にわたります。年間に一度開催される定期演奏会は最も重要な活動の一つですが、これに加えて、吹奏楽団体にとって大きな目標となる全日本吹奏楽コンクールへの挑戦、地域のイベントや祭りへの参加、そして音楽を通じて社会と交流する機会として、障がいの有無に関わらず誰もが楽しめるコンサートの企画・実施などを行っています。また、楽団独自の演奏を収録したオリジナルCDを制作し、全国で販売するなど、演奏活動にとどまらない積極的な取り組みを行っています。

沿革と主な実績

浜松交響吹奏楽団の歴史は、1973年に静岡県立浜松工業高等学校吹奏楽部のOBを中心に結成された同好会バンドに始まります。翌年の1974年には「浜松ウィンド・アンサンブル」として発足し、1977年には「浜松青少年吹奏楽団」へと改称しました。創立10周年の1983年には地域での貢献活動が評価され、善行表彰を受けています。現在の「浜松交響吹奏楽団」という名称になったのは1986年です。

1990年には浜松市教育文化奨励賞を受賞するなど、地域文化への貢献が評価されました。楽団の歴史において特筆すべきは、1994年の全日本吹奏楽コンクール初出場です。この年の第42回大会は、地元浜松に完成したばかりのアクトシティ浜松大ホールで開催され、楽団は初出場ながら金賞を受賞するという快挙を達成しました。これは地元での開催という巡り合わせもあり、楽団にとって忘れられない出来事となりました。

全国大会での実績に加え、1995年には第7回世界吹奏楽大会（WASBE）に日本代表として出演するなど、国際的な舞台も経験しています。また、国内の主要な吹奏楽イベントである国民文化祭や日本吹奏楽指導者クリニックなどにも度々招聘され、その演奏は高く評価されています。

全日本吹奏楽コンクールでは、1997年、2003年、2007年に3年連続出場による特別表彰を受けるなど、継続的に全国レベルでの活躍を見せています。アンサンブルコンテストにおいても、木管五重奏や木管八重奏が全国大会で金賞を受賞するなど、高い演奏能力を示しています。長年にわたり楽団の音楽づくりを牽引した浅田享氏は、2016年に全日本吹奏楽コンクール指揮者として通算15回出場を果たし、特別表彰を受けています。

音楽活動の特徴と近年のできごと

当楽団は、現代の作曲家への委嘱活動にも積極的です。楽団の節目の年に新作の創作を依頼し、定期演奏会で初演するというスタイルをとっています。これらの委嘱作品はオリジナルCDに収録され、その後楽譜が出版されることも多く、吹奏楽オリジナル作品の普及にも貢献しています。特に、創立30周年記念委嘱作品の交響組曲「ガイア」は、完成まで複数年を要し、完成した楽章から順次演奏会で初演するという異例の取り組みで注目を集めました。

これまでにも多数のオリジナルCDを制作・販売しており、楽団の演奏を広く届けています。また、地域貢献活動の一環として、新浜松市歌のCDレコーディングに参加するなど、地元に根ざした活動も行っています。

新型コロナウイルス感染症の影響による中断期間を経て、2022年より活動を本格的に再開しました。そして2023年には創立50周年を迎え、記念事業を展開しています。新たな常任指揮者として元航空中央音楽隊長の水科克夫氏を迎え、50周年記念定期演奏会を成功させるなど、楽団はさらなる発展を目指しています。

楽団の略称について

当楽団は、全国的には「浜松」「浜響（はまきょう）」「浜松交響」などと呼ばれることがありますが、地元浜松市では「浜響」「浜松交響」がアマチュアオーケストラの浜松交響楽団を指すことが多いため、区別のために「浜響吹（はまきょうすい）」という呼称がよく使われます。楽団内部や公式な場では、英語名称の頭文字をとった「HSWO」という略記も用いられることがあります。

浜松交響吹奏楽団は、長い歴史と実績に裏打ちされた演奏力に加え、地域社会や吹奏楽界全体への貢献にも積極的に取り組む団体として、今後も注目される存在です。

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