浜松市警察

浜松市警察（はままつしけいさつ）

浜松市警察は、第二次世界大戦後の占領期、旧警察法（昭和22年法律第196号）に基づいて設置された、静岡県浜松市を管轄する自治体警察の一つです。この制度は、それまでの集権的な警察組織であった静岡県警察部が解体された後、警察の民主化と地方分権の理念に基づき導入されました。浜松市警察は、1948年（昭和23年）3月7日に発足し、市民に密着した地域警察としての役割を担いました。

警察の運営は、市民の中から選ばれた3名の委員で構成される浜松市公安委員会によって管理されました。この公安委員会は、警察の政治的中立性を保ちつつ、市民の意向を反映した警察行政を行うことを目的としていました。浜松市警察署が設置され、当初はこの単一の警察署が市内全域の治安維持にあたりました。

発足当初の浜松市警察署は、国家地方警察浜名地区警察署と庁舎を共有しており、組織内部には警務課、刑事課、警備課の3つの専門部署が設けられていました。市内には地域住民の身近な拠点として、巡査部長が常駐する派出所が4箇所、巡査が勤務する派出所が19箇所配置されていました。職員体制としては、警視1名、警部1名、警部補7名、巡査部長27名、巡査167名の合計203名の人員で業務にあたっていました。なお、1950年（昭和25年）1月には、国家地方警察浜名地区警察署は浜松市元城町に新築された専用庁舎へ移転しています。

その後、浜松市が周辺の町村を合併し、その管轄区域が拡大したことに伴い、浜松市警察の担当する地域も広がりました。これに対応するため、組織体制の見直しが行われ、1954年（昭和29年）3月15日には新たに浜松市東警察署が設置されました。同時に、警察組織全体の指揮監督を行う中枢機関として、浜松市鴨江町に浜松市警察本部が設けられました。この時点での警察署は、鴨江町の中央警察署（旧浜松警察署）と相生町の東警察署の二署体制となりました。

しかし、自治体警察制度は約6年で終焉を迎えます。1954年（昭和29年）7月1日に新たな警察法（昭和29年法律第162号）が施行されたことによるものです。この新警察法により、それまで並立していた国家地方警察と自治体警察の区分が廃止され、全国の警察組織は都道府県警察へと一元化されました。この制度変更に伴い、浜松市警察も廃止され、その機能と組織は新たに発足した静岡県警察に統合されることとなり、短期間ながら市民生活の安全を守ったその歴史に幕を閉じました。

浜松市警察は、戦後の一時期における地方自治と警察組織のあり方を象徴する存在であり、現在の静岡県警察における浜松市内の警察署の源流の一つと言えます。

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