浜松町ビルディング

浜松町ビルディング：歴史と未来が交わる超高層ビル

東京湾に面した東京都港区芝浦エリアにそびえ立つ浜松町ビルディングは、かつて東芝の本社機能を担っていた超高層ビルです。1984年の竣工当時、最先端のOA機器を導入したインテリジェントビルとして注目を集め、その歴史は、日本の高度経済成長期から現代の再開発へと続く、時代の変遷を象徴する存在となっています。

埋立地からの変貌：東京湾岸の再開発

浜松町ビルディングが建つ地は、かつては東京湾の埋立地で、倉庫街が広がっていました。しかし、自動車輸送の発達により、工場や倉庫は撤退し、跡地の有効活用が課題となりました。この状況を受け、港区は1974年に芝浦一丁目における再開発計画「SKP計画」を提案。超高層貸オフィスビル建設案が採用され、東京芝浦電気（現在の東芝）を核とした共同事業によって、浜松町ビルディングの建設が始まりました。

東芝本社ビルとしての時代：先進技術の結晶

1981年に着工、1984年に竣工した浜松町ビルディングは、東芝グループの本社機能を収容するため、「東芝ビルディング」として名付けられました。東芝がその70％を占めるなど、東芝グループの成長を支える拠点として、長年にわたり重要な役割を果たしました。竣工当時は、東芝の最先端OA機器を導入し、本格的なインテリジェントビルとして注目を集め、時代の先端を行く技術を体現していました。低層階には丸善石油（現コスモ石油）が入居し、ビル内郵便局や銀行出張所なども設けられました。浜松町駅とはペデストリアンデッキで接続され、南側には「スリーワンプラザ」と呼ばれる飲食店街も併設されていました。

所有権の移転と本社機能の移管

2008年、東芝不動産の株式65％が野村不動産ホールディングスに取得され、ビル所有権は東芝から離れました。その後、2013年には東芝が川崎市に新本社ビルを建設し、本社機能の大半を移転。これに伴い、ビル名称は「浜松町ビルディング」に変更されました。空いたオフィススペースは新たなテナントに貸し出され、コニカミノルタジャパンやコスモエネルギーホールディングスなどが移転してきました。

再開発プロジェクト「BLUE FRONT SHIBAURA」

現在、浜松町ビルディングを含む4.7ヘクタールの敷地では、野村不動産とJR東日本による大規模な再開発計画「芝浦プロジェクト」が進められています。2棟の高層ビルからなる複合施設「BLUE FRONT SHIBAURA」の建設が2021年に着工し、2031年の竣工を目指しています。このプロジェクトは、浜松町ビルディングの歴史に新たな一章を刻むと共に、東京湾岸エリアの更なる発展に貢献するものです。再開発計画では、既存ビルの解体も含まれており、高さ165.9メートルの超高層ビルの解体は、日本最大規模となります。

建築デザインと環境配慮

浜松町ビルディングは、海に近く鉄道と運河に囲まれた立地条件を考慮した設計がなされています。人工地盤上に建設され、周囲には多数の樹木が植えられ、中庭には滝と噴水も設けられていました。外装はアルミカーテンウォールを採用し、熱線反射ガラスを使用することで環境配慮も図られています。そのモダンなデザインは、数多くのドラマや雑誌の撮影にも使用されました。

交通アクセス

浜松町ビルディングは、JR浜松町駅南口、都営地下鉄大江戸線・浅草線大門駅、ゆりかもめ日の出駅から徒歩でアクセス可能です。

まとめ

浜松町ビルディングは、単なるオフィスビルとしてだけでなく、日本の高度経済成長、企業の変遷、そして都市再開発という大きな流れを体現する存在です。その歴史と未来、そして先進技術と環境配慮が融合した姿は、東京湾岸エリアの新たなランドマークとして、今後も多くの人の記憶に残ることでしょう。

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