浜田式自動拳銃

浜田式自動拳銃

浜田式自動拳銃（はまだしきじどうけんじゅう）は、太平洋戦争中に日本で開発された重要な自動拳銃です。この拳銃は濱田文治によって設計され、昭和16年11月には関連する特許が出願されました。そのため、浜田式拳銃とも呼ばれるようになっています。一式拳銃と二式拳銃は、この浜田式自動拳銃を基にしており、いずれもその歴史的な文脈の中で重要な役割を果たしています。

概要

日本における拳銃の開発にはあまり力を入れていなかったため、当時の国産拳銃は重く扱いづらいというデメリットがありました。その影響で、日本軍の将校たちは哺乳瓶のように外国製拳銃を多く利用していました。しかし、昭和初期には戦争が近づくにつれて国産の拳銃が求められるようになり、輸入調達が難しくなる中で、政治的な背景も絡み合い、国内での拳銃の需要が急増しました。こういった背景の中で、浜田文治は浜田式自動拳銃の設計を進めました。

一式拳銃

一式拳銃は1941年（昭和16年）に完成し、将校用の拳銃として市販されたものです。この拳銃は、人気のあるブローニングM1910を参考に開発されており、そのために高い人気を誇りました。特に昭和18年末までには、およそ3000丁以上が製造・販売されたとされ、口径は.32口径（7.65mm）で、.32ACP弾を使用します。

この銃は遊底複座式の自動拳銃であり、撃発方式にはストライカー式を採用しています。遊底の先端は僅かに斜めに削られた形状をしており、内部の機構や外観デザインは、M1910に多大な影響を受けています。一式拳銃は陸軍制式には採用されませんでしたが、この呼称が使われ、後の二式拳銃への道を開くこととなりました。

二式拳銃

1942年（昭和17年）からは、拳銃弾の統一計画が進められ、ストライカー式の一式拳銃から8mm口径に改良された二式拳銃が登場しました。この計画は日本軍が主導しており、当時の陸軍第一技研小型銃器担当官である谷戸賢二少佐の指導のもとで進行されました。

二式拳銃は、グリップからトリガー周辺へのレイアウトが一式拳銃と似ていますが、全体的には大きく変更されており、特にコルトM1903やブローニング・ハイパワーのデザインが見受けられます。8mm南部弾の威力を考慮して設計が変更されているため、銃口の跳ね上がりを抑える効果があったと考えられています。また、遊底も大型化されており、頑丈さが増しています。

1943年には、二式拳銃が開発されましたが、戦局の悪化により製造数はごくわずかに留まりました。一説によると1500丁ほどの生産があったとされていますが、多くは戦争の影響で失われ、現在は非常に限られたものが存在しています。現存するものは製造番号も二桁台に止まっており、ブルーイングなどの表面処理も施されていないため、「幻の拳銃」として知られるようになっています。このように、浜田式自動拳銃は、日本の軍需産業における興味深い一面を持つ武器といえます。

もう一度検索