浦川宜也

浦川 宜也（うらかわ たかや）

浦川 宜也氏は、1940年4月13日に東京で誕生した高名なヴァイオリニストです。その才能は幼少期から際立っており、9歳となった1949年には、全日本学生音楽コンクール全国大会の小学生の部で第1位を獲得しました。また、13歳で迎えた1953年の第22回日本音楽コンクールでは、上位入賞を果たしています。

ヴァイオリンの研鑽は国内で進められ、鈴木鎮一、小野アンナ、井上武雄といった名教師に師事しました。その後、さらなる高みを目指し、1959年には西ドイツ給費留学生としてベルリン芸術大学へ留学し、ミシェル・シュヴァルベのもとで学びます。1961年にはミュンヘン国立音楽大学に移り、ウイルヘルム・シュトロスらに師事。ここで深い造詣と技術を培い、1964年に同大学を首席で卒業するという輝かしい成績を収めました。

大学卒業後、浦川氏はすぐにヨーロッパでの演奏活動に入ります。1964年には西ドイツ・ファルツ交響楽団に入団。翌1965年には、指揮者ヨゼフ・カイルベルトにその実力を認められ、名門バンベルク交響楽団の第1コンサートマスターに就任しました。1969年に同楽団を退いた後はソリストとして独立し、ベルリン交響楽団やオランダ・ブラバント交響楽団をはじめとする様々なオーケストラとの共演を通じて、ヨーロッパ各地で精力的な演奏活動を展開しました。この時期には、ピアニストのフランツ・ルップと共にベートーヴェン、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全集の録音も行っています。

1981年、浦川氏は日本に帰国し、教育者としての道を歩み始めます。東京芸術大学音楽学部器楽科の助教授に就任。1982年にはワシントンD.C.のライブラリー・オブ・コングレスが主催するシリーズで演奏するなど、国際的な活動も継続しました。1983年には京都コンピュータ学院で音楽鑑賞の講師を務め、翌1984年には東京芸術大学の教授に昇進しました。長年の功績に対し、1986年にはドイツ連邦共和国功労勲章一等功労十字章が贈られています。その後も、東京音楽大学大学院で講師（2002年）、客員教授（2004年）を務めるなど、多くの後進の育成に力を注ぎました。

現在もなお、浦川氏はソリストとしての活動を続ける傍ら、国内外の音楽祭への参加、マスタークラスやセミナーでの指導、国際的なコンクールの審査員など、多岐にわたる分野で活躍しています。また、楽譜の校訂作業なども手掛けており、ヴァイオリン芸術の発展に貢献し続けています。

これまでに、浦川氏は数多くのレコーディングを行っており、主要なヴァイオリン作品の解釈を残しています。

モーツァルト：ヴァイオリン・ソナタ集
ベートーヴェン：ヴァイオリン・ソナタ全集、ヴァイオリン協奏曲
バッハ：無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ、ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ、ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ、ヴァイオリン協奏曲集
ブラームス：ヴァイオリン・ソナタ全集、ヴァイオリン協奏曲
シューベルト：ソナタ イ長調・ロンド ロ短調・大幻想曲ハ長調、D384, D385, D408, D574
シューマン：ヴァイオリン・ソナタ第1番、第2番
リヒャルト・シュトラウス、プフィッツナー：ヴァイオリン・ソナタ集
日本のヴァイオリン・ソナタ作品集
エネスコ、バルトーク：ヴァイオリン・ソナタ集
ヴィヴァルディ：ヴァイオリン協奏曲集
アンコール・ステージ
メンデルスゾーン：ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー：ヴァイオリン協奏曲
モーツァルト：ヴァイオリン協奏曲集
ハイドン：ヴァイオリン協奏曲集
レーガー：ヴァイオリン・ソナタ集
アルカン：ヴァイオリン・ソナタ
イザイ，クライスラー，オネゲル：時代（とき）を超えた無伴奏
* ベートーヴェンほか：浦川宜也 東京クラシックプレイヤーズ（複数の録音）

これらの録音は、浦川氏の豊かで深い音楽性を今に伝えています。

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