浦戸城

浦戸城（うらどじょう）

浦戸城は、高知県高知市浦戸に位置する中世の平山城跡です。土佐湾に面した浦戸山の山頂に築かれ、古くから水運の要衝として重要な役割を果たしてきました。戦国時代には、長宗我部元親が居城とし、その勢力拡大の拠点となりました。その後、江戸時代初期には山内一豊もこの城を一時的に使用しましたが、高知城の築城に伴い廃城となりました。現在は、その一部が史跡として残り、往時の姿を偲ぶことができます。

歴史

浦戸城の歴史は、鎌倉時代から室町時代にかけての城砦に遡ると考えられています。本格的な築城は、戦国時代に土佐七雄の一人であった本山氏によって行われました。その後、長宗我部氏が勢力を拡大する中で、浦戸城は重要な戦略拠点となり、長宗我部元親によって大規模な改修が行われました。元親は、当初は大高坂城を居城としていましたが、水害の多さから浦戸城に移り、水陸両面からの防衛を重視した本格的な城郭へと改築しました。城は本丸、二の丸、三の丸、出丸で構成され、3層の天守も備えた大規模なものでした。

長宗我部氏の時代が終わると、関ヶ原の戦いでの敗北により、長宗我部盛親が改易され、山内一豊が土佐に入国しました。しかし、長宗我部旧臣による抵抗（浦戸一揆）に遭い、入国は難航しました。この抵抗は最終的に鎮圧され、山内一豊は浦戸城に入城しますが、手狭であったことから高知城の築城に着手し、移ったため、浦戸城は廃城となりました。

遺構

浦戸城は、廃城後に高知城の築城資材として使われたり、国民宿舎や記念館の建設により破壊されたりしたため、現存する遺構は非常に限られています。現在残っているのは、本丸の石垣の一部と二の丸付近の堀切跡、そして石碑のみです。しかし、これらの遺構からも往時の城の規模を想像することができます。発掘調査の結果、出土した瓦の質が他の城と比較して低かったことから、浦戸城は臨時の拠点であり、将来的には高知城に本拠を移す予定があったという説もあります。

周辺

浦戸城跡の周辺には、土佐湾や浦戸湾、桂浜などの自然豊かな景勝地が広がっています。また、長宗我部氏に関連する史跡や菩提寺、戦勝祈願を行った神社なども点在しており、歴史と文化を感じることができます。近くには、坂本龍馬記念館もあり、観光客も多く訪れます。

アクセス

公共交通機関を利用する場合は、とさでん交通バスで龍馬記念館前バス停で下車するとすぐです。また、駐車場も整備されているため、車でのアクセスも可能です。

まとめ

浦戸城は、戦国時代から江戸時代初期にかけて、土佐の歴史において重要な役割を果たした城です。現在はその姿を大きく変えましたが、わずかに残る遺構から当時の様子を偲び、歴史を身近に感じることができます。高知を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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