浪江・小高原子力発電所

浪江・小高原子力発電所の建設計画

浪江・小高原子力発電所（なみえ・おだかげんしりょくはつでんしょ）は、福島県南相馬市小高区および双葉郡浪江町に東北電力によって建設が計画されていた原子力発電所です。計画は多くの歴史的事象や争いを経て、最終的には断念することになりました。

歴史的背景

この発電所の計画が検討されたのは1960年代に遡ります。福島県は原子力発電所の候補地調査を行い、浪江町がその一つとして選ばれましたが、最終的には福島第一原子力発電所が別の地点に建設されることになりました。その後、浪江町では原子力発電所の誘致運動が再燃し、1967年には町議会が原発誘致を決定しました。これに対して、地元住民や労働組合、政治団体が反対運動を展開し、特に「浪江・小高原発反対同盟」が結成されるなど、賛否が分かれる状況となりました。

反対運動の中で、舛倉隆氏が中心となり、原発の危険性を訴える活動が行われました。環境調査も不十分であり、放射能の影響についての予測が欠如していたことが批判されました。そのため、反対派は自民党の中でも分裂しながら、「原発には土地を売らない」という主張を維持していきました。さらに、反対派はスキャンダルを暴露し、地域の分裂を深めていったのです。

計画の進展と困難

1970年代には、発電所の具体的な設計が行われ、浪江町内に建設する計画が進展しました。しかし、1977年に予定されていた着工は毎年延期され、経済的理由からも問題が続出しました。近隣自治体では新たな発電所の建設が進む一方で、浪江町内では商工業者にとって莫大な損失をもたらす事態が続きました。

福島第一原子力発電所事故の影響

2011年3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原発事故は、浪江・小高原子力発電所の建設計画にも大きな影響を与えました。事故の結果、計画地は警戒区域に指定され、地域の安全性が疑問視されるようになりました。これを受けて、浪江町議会は12月に誘致決議を全会一致で撤回しました。これにより、町民の命や健康を脅かすリスクを考慮し、原発と共生することはできないとの明確な姿勢を示しました。

その後、南相馬市議会も同様の決議を可決し、浪江町長と南相馬市長も建設を認めない考えを表明しました。2013年3月には東北電力が建設計画の正式な断念を発表し、2017年には発電所用地も無償譲渡されました。

まとめ

浪江・小高原子力発電所の建設計画は、様々な社会的、政治的要因や住民の意見の相違を受けて、長い道のりの末に断念されました。これらの出来事は、原子力発電に対する住民の意識の変化や、安全性の問題を深く考える契機となりました。今後も地域の発展と安全を両立させる取り組みが求められるでしょう。

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