浮野の戦い

浮野の戦い（うきののたたかい）

浮野の戦いは、戦国時代の永禄元年（1558年）に、愛知県一宮市千秋町浮野で織田信長とその敵対者である信賢の間で繰り広げられた合戦です。この戦いは、尾張地方における権力争いの中で重要な出来事とされており、特に信長の尾張統一の一環を成しました。

背景

織田信長は、尾張国の支配を強化しつつありました。彼はまず、清洲織田氏の守護代である信友を萱津の戦いで打ち破り、その後の内乱や外敵に対しても勝利を収めました。しかし、岩倉織田氏の守護代である信安が健在であり、この信安はかつて信長の父、信秀の妹を妻としていたことから、個人的なつながりもありました。それにもかかわらず、信安は他国と結びつき、信長に対抗する姿勢を見せていました。

信安の長子信賢が父の後継者として意欲を持つ一方、次子の信家を跡継ぎにしようとする信安との間に対立が生じました。信賢は最終的に信安を追放し、信長にとって新たな敵と見なされました。信長は、独立勢力となっていた犬山城の主、信清を味方に引き入れることで、信賢に対抗条件を整えました。

合戦の経過

1558年の浮野の戦いでは、信長が2,000の軍勢を引き連れ、3,000の信賢軍と接触しました。戦は熾烈を極め、信長が優位に立っているものの、信賢軍も全力で抵抗しました。しかし、信清が1,000の兵を率いて信長の援軍として加わった瞬間、戦局は大きく変化しました。信賢軍は壊滅へと追い込まれ、1,200人以上の死者を出した後、信賢は本拠地である岩倉城へと退却しました。

降伏と尾張統一

翌1559年、信長は再び軍勢を率いて岩倉城を包囲しました。数ヶ月にわたる篭城戦の末、信賢は降伏し、信長は尾張国の統一を達成しました。その後、信長は信清をも追放し、さらなる権力集中を図ります。信賢の運命については不明ですが、支配者としての権威をも失ったことは明らかです。

戦いの影響と重要な人物

浮野の戦いで活躍した林弥七郎は、信賢側の軍勢として知られる人物で、彼は弓の名手として伝えられています。信長方の鉄砲名手、橋本一巴との一騎打ちのエピソードが伝わり、様々な伝説が生まれています。信賢軍においても、後に織田・豊臣政権下で名を馳せる山内一豊や堀尾吉晴の父も参戦しており、この戦いが後の日本の政局に与えた影響は大きいと評価されています。

浮野の戦いは、戦国時代における権力をかけた数々の合戦の一例であり、信長の台頭を象徴する重要な転換点であったと言えるでしょう。

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