萱津の戦い

萱津の戦い（かやづのたたかい）

萱津の戦いは、天文21年8月16日（1552年9月4日）に尾張国萱津で発生した重要な軍事衝突です。この戦いは、萱津合戦または海津の戦いとも呼ばれ、織田信長の父、織田信秀の後を継いだ信長の家族間や家臣たちの権力争いが引き起こした事件として知られています。

戦の背景

戦の背景には、清洲織田家の重臣であった織田信秀の死があり、その後を受け継いだ信長が直面した家族内での緊張がありました。信秀の死後、信長に従っていた鳴海城主の山口教継・教吉父子は駿河の今川義元側に寝返りました。これを受け、信長と教吉との間で発生した赤塚の戦いは両者の意見の対立を深めました。

当時の清洲織田家の当主は信友でしたが、実権は又代の坂井大膳が握っていました。彼は信長の勢力を脅かすべく、信長軍への攻撃を決定し、松葉城と深田城を奇襲します。

戦いの経過

坂井大膳による襲撃が成功し、松葉城および深田城の主が捕らえられるという知らせが届いたとき、信長は早速行動に移ります。8月16日早朝、那古野城を出発し、庄内川畔で織田信光と合流します。その後、信長は各口に分かれて軍を展開し、ついには海津へと向かいます。

辰の刻（午前8時ごろ）、双方の軍は接触し、戦闘が開始されました。数刻の交戦で、坂井甚介が討ち取られ、清洲側の50騎が命を落とす大きな損害を被ります。松葉口でも清洲軍は劣勢となり、真島の大門崎では交戦が続き、清洲軍はさらに多くの負傷者を出し、本城へと撤退しなければなりませんでした。

その頃、深田口の状況は絶望的で、信長軍は速やかに清洲軍を圧倒しました。最終的に、両城は信長方が制圧し、清洲軍は降伏して城を明け渡しました。この戦いにより、信長は清洲の田畑を攻撃し、その後の両者の敵対関係が確立されました。

戦後の影響

萱津の戦いは、清洲織田家と信長との間の敵対関係を深め、その後の安食の戦いへと続く重要な転機となりました。また、前田利家にとって初陣となる戦でもあり、多くの武士たちがこの戦いでの栄光を目指して各地で戦ったのです。

このように、萱津の戦いは織田家の内分裂と外部の脅威の両方を象徴する重要な出来事であり、日本戦国時代における権力闘争の一端を示す歴史的な戦闘でした。

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