海の勇者ライフセイバーズ

『海の勇者ライフセイバーズ』は、畑健二郎先生が『週刊少年サンデー超』にて2003年に発表した全5話の漫画作品です。先生にとって初の連載作品であり、ライフセービングを題材にした異色のスポーツ漫画として、今でも一部のファンから熱い支持を受けています。

概要

連載のきっかけは、当時の担当編集者からの提案でした。畑先生は当初、ライフセービングの知識がないことを懸念しましたが、編集者の後押しもあり、執筆を決意。しかし、完成した作品は、本来のライフセービングの要素を色濃く反映したものとなりました。

当時、畑先生は漫画家としての技量不足を感じており、「生涯最後の商業誌掲載作品になるだろう」という覚悟で本作に臨んだそうです。そのため、「次の展開すら想像させない漫画」というコンセプトで、読者の予想を裏切る展開が繰り広げられます。

連載は全5話の予定でしたが、誌面の都合で延長される可能性も示唆されていました。実際には5話で完結しましたが、幻の第6話・第7話のネームも存在します。

作中では、ライフセーバーを「ライフセイバー」と表記している点も特徴です。

あらすじ

物語の舞台は、夏の海。高校2年生の南野宗谷は、高校最速のスイマーとして知られています。一方、幼馴染の瀬戸美海は、カナヅチながらもライフセイバーを目指していました。

美海が手に入れたライフセービング講習会のチラシをきっかけに、宗谷、美海、そして友人であるアユと聖の4人は、美海が過去に溺れた海にある海の家「人命」で講習を受けることになります。

講師は、「人命」で働くライフセイバーの戦部大和。厳しい指導を受けながらも、宗谷たちはライフセービングの技術を習得していきます。

さらに、オーストラリアからやってきたギルバート・ケントも加わり、海水浴場ではビーチバレー大会やオバケ魚退治の釣り大会が開催されます。そして、宗谷たちは大和やギルバートの協力を得て、海底人のロボット兵器を倒すという、壮大な戦いに巻き込まれていくのです。

最終的に、宗谷は大和からライフセイバーとしての才能を見出され、新たな道へと進むことになります。

登場人物

主要人物

南野宗谷（みなみのそうや）
主人公。高校最速のスイマー。幼馴染の美海に一途な想いを寄せており、彼女を助けるために水泳を始めました。トリビア好きで、周囲を困惑させることも。

瀬戸美海（せとみつみ）
ヒロイン。宗谷の幼馴染。料理が得意で成績優秀ですが、カナヅチでライフセイバーを目指しています。過去に溺れた経験から、命の恩人である大和に憧れています。

戦部大和（いくさべやまと）
海の家「人命」で働くライフセイバー。「霊長類最強のライフセイバー」を自称し、宗谷たちに厳しくも熱心な指導を行います。過去に美海を助けたことがあり、彼女の憧れの存在です。

朝凪かすみ（あさなぎかすみ）
「人命」で働くライフセイバー。大和のアシスタント的存在で、美海たちに泳ぎを教えます。

ギルバート・ケント
オーストラリアからやってきたライフセービング講習の受講生。実は大和を倒すために送り込まれた刺客。日本語が片言で、闘志を出すと背中に「コアラの神」が出現します。

その他の登場人物

アユ、聖
美海の友人。常に美海を気にかけており、「美海の保護者」を自認しています。

バレーボーイズ
ビーチバレー大会に出場した二人組。ドリキャスに異様な執着を見せる。

漁師
オバケ魚の退治をかすみに依頼した三人組。全く同じ容姿をしている。

オバケ魚
漁場を荒らす妖怪。大和によって退治される。

海底人
地上侵略を企む。ザリガニ型ロボット兵器を操る。

サブタイトル

第1話 - 夏はやっぱり海ってことか
第2話 - オーストラリアから来た意味はあんまりない
第3話 - 男だらけのビーチバレー大会
第4話 - 松方ビックリ釣り紀行
* 最終話 - どうしてこんな所に来てしまったんだろう…

単行本

連載終了後、長らく単行本化されていませんでしたが、2010年に発売された『畑健二郎初期作品集ハヤテのごとく!の前』に全話収録されました。同書には、畑先生による解説も掲載されています。

『ハヤテのごとく!』との繋がり

本作の登場人物の一部は、畑先生の代表作である『ハヤテのごとく!』にも登場しています。また、戦部大和と綾崎イクサの関係性など、謎めいた要素も残されており、ファンの間で様々な考察が繰り広げられています。

まとめ

『海の勇者ライフセイバーズ』は、畑健二郎先生の原点とも言える作品であり、その後の作品に繋がる要素も多く含まれています。ライフセービングを題材にした斬新な設定、個性的なキャラクターたち、そして笑いと感動が詰まった物語は、今でも多くの読者を魅了し続けています。

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