海上交通センター

海上交通センターについて

海上交通センター（かいじょうこうつうせんたー）は、海上交通安全法や港則法に基づき、航路や海域における船舶の交通を管理し、航行の安全と効率を高める役割を担っています。このセンターは海上保安庁によって設置され、運営されています。

以前は「Traffic Advisory Service Center」と呼ばれていましたが、現在は「Vessel Traffic Advisory Service Center」という名称が使われています。また、Marine Traffic Information Serviceの略称として「マーチス（MARTIS）」とも名付けられていますが、名古屋海上交通センターでは異なる呼称が用いられています。

各センターは、レーダー、テレビカメラ、VHF無線機、気象観測装置、そして自動船舶識別装置（AIS）などの先進的な機器を備えています。これらのデバイスにより、船舶に対して航行管制を行い、通航に関する情報を提供しています。また、情報信号板、FAX、インターネットサービス、電話、さらにはラジオ放送を通じても様々な情報を提供し、船舶の航行を支援しています。

設置された海上交通センターの地域と業務

1977年に東京湾海上交通センターが設立されて以来、様々な地域に7つの海上交通センターが順次設置されてきました。以下は各センターの所在地とその主な業務内容です。

• - 東京湾海上交通センター（東京マーチス）

神奈川県横浜市中区に位置し、浦賀水道航路や中ノ瀬航路を中心に東京湾の航行情報提供及び航行管制を行っています。さらに千葉、東京、横浜、川崎港にも関与しています。

• - 伊勢湾海上交通センター（伊勢湾マーチス）

愛知県田原市にあり、伊勢湾口や伊良湖水道近辺における航行情報提供と航行管制を担当しています。

• - 名古屋港海上交通センター（名古屋ハーバーレーダー）

愛知県名古屋市港区に位置し、名古屋港の航行情報提供と港内での管制を行っています。

• - 大阪湾海上交通センター（大阪マーチス）

兵庫県神戸市中央区のポートアイランドに所在し、大阪湾北部海域や明石海峡の航行情報提供と航行管制を行っています。2023年には淡路市から移転しました。

• - 備讃瀬戸海上交通センター（備讃マーチス）

香川県綾歌郡宇多津町の青ノ山にあり、備讃瀬戸航路や水島航路における航行情報提供及び管制を行っています。

• - 来島海峡海上交通センター（来島マーチス）

愛媛県今治市に位置し、来島海峡の航行情報提供及び航行管制を担当しています。

• - 関門海峡海上交通センター（関門マーチス）

福岡県北九州市門司区に位置し、関門海峡の航行情報提供、通航管制、さらには戸畑航路の出入港管制を行っています。

航行管制と情報提供業務

海上交通センターの主な業務には、航行管制と港内管制が含まれます。指定された航路に沿った船舶の出航および入港を管理し、必要に応じて通航の時間調整を行います。また、ラジオ放送を利用して24時間体制で載せる情報には、大型船の入航予定、気象情報、海象情報などが含まれます。

さらに、各センターは潮流の情報も提供しており、特に緊急事態が発生した場合には臨時放送を実施して迅速な情報伝達を行います。

昨今では、音声やモールス信号による潮流情報放送が行われていましたが、2024年には一部が廃止される予定です。これはモバイル端末の普及による利用状況の変化が影響しています。

海上交通センターは、より効率的で安全な航行環境を提供するために、技術革新を積極的に導入しながら、現代の海上交通のニーズに適応しているのです。

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