海上移動業務識別コード

海上移動業務識別コード（MMSI番号）の概要

海上移動業務識別コード、通称MMSI番号（Maritime Mobile Service Identity）は、船舶や沿岸局などの海上移動体に対して付与される、9桁の固有識別番号です。この番号は、デジタル選択呼出通信装置（DSC）を搭載した機器によって使用され、国際的な通信や安全システムにおいて重要な役割を果たしています。

MMSI番号の先頭3桁は、国コードを表しており、どの国の船舶や局に割り当てられた番号なのかを識別することができます。残りの6桁は、個々の船舶や局を特定するための固有の番号です。

MMSI番号の利用方法

MMSI番号は、様々な場面で使用されます。主な用途としては以下のものが挙げられます。

緊急時における通信: 船舶が遭難した場合、MMSI番号を使用して救助機関に緊急連絡を行うことができます。DSC通信装置を通じて、位置情報などを含む遭難信号を送信することで、迅速な救助体制の構築に繋がります。
一般通信: 電話やテレックス接続時にも、MMSI番号が使用されます。これにより、特定の船舶や局に対して確実に通信を行うことができます。
船舶自動識別装置（AIS）との連携: AISは、船舶の位置や航行情報を自動的に送信・受信するシステムです。MMSI番号はAISシステムにおいて識別符号として使用され、船舶の追跡や航行状況の監視に役立てられています。
環境調査への活用: 近年では、船舶の排ガスによる大気汚染調査においても、MMSI番号が活用されています。MMSI番号と船舶の航行情報を組み合わせることで、大気汚染の発生源を特定し、より効果的な対策を講じることが可能となります。

関連する国際条約と組織

MMSI番号の運用には、いくつかの国際条約や組織が関わっています。

国際海上人命安全条約（SOLAS条約）: SOLAS条約は、海上における人命の安全を確保するための国際条約です。この条約では、船舶に搭載すべき安全設備や運用手順などが規定されており、MMSI番号の利用もその一部として含まれています。
国際移動通信衛星機構（IMSO）: IMSOは、海上移動衛星通信システムの運用を監督する国際機関です。MMSI番号の管理や割り当てにも関与しています。

参考文献

『電波・テレコム用語辞典』（電気通信振興会、1999年）
Fletcher, Sue (2002) A boater's guide to VHF and GMDSS. International Marine/McGraw-Hill
IHS Fairplay (2012) IHS fairplay register of ships. IHS Fairplay
United States Coast Guard Auxiliary (2013) Boating skills and seamanship. 14th ed. International Marine/McGraw Hill Education
IHS Maritime and Lloyd's Register of Shipping (2014) Lloyd's register of ships*. IHS Maritime

まとめ

MMSI番号は、海上における安全と効率的な通信を支える重要な識別番号です。国際的な協調のもと、様々なシステムと連携して運用されており、今後も海上交通の安全確保に大きく貢献していくものと考えられます。

もう一度検索