海外特派員 (映画)

映画『海外特派員』概要

『海外特派員』（かいがいとくはいん、英: Foreign Correspondent）は、1940年に公開されたアメリカのサスペンス映画で、アルフレッド・ヒッチコックが監督を務めました。ヒッチコックのハリウッドでの第二作目にあたるこの作品は、当時の緊迫した国際情勢を背景にアメリカの新聞記者が直面する陰謀を描いています。主要キャストにはジョエル・マクリー、ラレイン・デイ、ハーバート・マーシャルなどが含まれており、実際の歴史的事件が影響を与えた作品となっています。

ストーリー

物語は1939年8月のニューヨークから始まり、新聞社の編集長であるパワーズが犯罪記者ジョン・ジョーンズをヨーロッパへ派遣することに決めます。ジョーンズは、「ハントリー・ハバーストック」というペンネームを与えられ、現地の情勢を報告する任務を受けます。彼の初仕事は、オランダの外交官ヴァン・メアにインタビューを行うことです。この昼食会で、ジョーンズはヴァン・メアとタクシーを共有しながら、迫る戦争について話を持ちかけますが、ヴァン・メアはその問いに濁した返答をします。

会議が始まると、ジョーンズはヴァン・メアの代わりに登壇した彼の娘キャロルに心を奪われ、彼女に席を勧めます。但し、基調講演者のヴァン・メアが病気で欠席したことが知らされ、ジョーンズは不測の事態に気づくことになります。

その後、彼は万博平和党の会議に出席するためにアムステルダムへ向かいますが、そこでの挨拶中に、ヴァン・メアが何者かに撃たれるという事件が起こります。ジョーンズは犯人を追いかけ急ぎますが、途中で彼女の友人である記者、スコット・フォリオットとキャロルと合流します。彼らは犯人を風車の近くで隠れているのではないかと考え、捜索を開始します。

風車での発見は衝撃的でした。ヴァン・メアは生きているものの、薬で意識を失っている状態だったのです。彼は自らの偽物が撃たれたことを何とか伝えます。その後、アムステルダムでジョーンズは再び危険に直面し、スパイに誘拐されそうになりながらも、なんとか逃げ出します。

ジョーンズとキャロルはイギリス行きの船に乗り込み、嵐の中で彼は彼女に求婚をします。イギリスに到着後、ジョーンズはキャロルの父、フィッシャーのもとで思わぬ陰謀に巻き込まれていくのです。次第にジョーンズはフィッシャーが裏切り者であるという疑念を強め、彼と共にさらなる計画を立てますが、キャロルとの関係も試練を迎えます。

物語のクライマックスでは、フィッシャーが自身の反逆行為を告白し、最終的に命を投げ出すことになります。戦争が勃発し、ジョーンズと仲間たちは混乱の中でサバイバルを図るのです。

評価

『海外特派員』はその後、多くの批評家から評価され、Rotten Tomatoesでは批評家の95%が高評価をつけています。映画はサスペンスとアクション、そしてヒッチコック特有の緊張感を巧みに融合させ、国際的な陰謀の背景に深く踏み込んでいます。

製作の舞台裏

ヒッチコック監督は主演にゲイリー・クーパーを望んでいたものの、彼がスリラー映画に興味を示さなかったため、別のキャストが選ばれることとなりました。また、作中のオランダ外交官ヴァン・メアを演じたアルバート・バッサーマンは、英語を全く話せない中、セリフを音で覚えるという挑戦をしました。

この作品は、戦争前夜の緊迫感や陰謀を通じて、見えない敵と戦う人間たちの姿を描いた映画であり、今なお多くの視聴者に感銘を与え続けています。

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