海外興業

海外興業株式会社の概要

海外興業株式会社（かいがいこうぎょう）は、1918年12月1日に設立された日本の移民会社で、当時の国策に基づく移民業務を幅広く展開しました。略称として「海興」と呼ばれ、この会社は戦前の日本の移民政策の中心的な役割を果たしました。

設立の背景

海外興業の設立に至る背景には、1917年に寺内内閣が進めた移民政策の見直しがあります。当時、民間の移民会社が乱立しており、無駄な競争が横行していました。そこで、国は東洋拓殖株式会社（通称、東拓）が移民事業に参入するための企業の合併を促進しました。この仕組みによって、当時の代表的な移民取扱業者4社を買収し、海外興業が新たな移民の管理者として誕生しました。

事業内容

海外興業の主な事業は、契約労働者や自由移民の送り出しといった移民関連業務です。また、自作農の育成や海外産業への投資、さらには人材育成にも注力しました。これにより、海興は日本で唯一の移殖民会社としての地位を確立し、移民先としてはブラジル、ペルー、フィリピン、オーストラリアなど、多岐にわたる国々へと拡大していきました。

1918年には、ブラジルへの約1900人の移民に関与し、そのうち1400人以上を取り扱いました。戦前の1939年には、東京の麹町に本社、ブラジルに支社を構え、ペルーや神戸にも出張所を持つなど、国際的なネットワークを持ちました。海外興業は、内務省からも移殖民保護及奨励費の補助を受け、自らの活動の周知徹底を図りました。

効果と影響

この会社の活動は、特に海外移住を希望する人々にとって大きな影響を与えました。海興が発信していた刊行物や資料は、移民先の生活や文化についての情報を提供し、移民希望者に対して啓発活動を行いました。植民希望者を集めるために発行された『植民』雑誌には、後に芥川賞を受賞する作家の石川達三が関わっており、彼もまた移民としてブラジルに渡った一人です。

結論

海外興業株式会社は、日本の国策に基づいた移民事業に貢献し、多くの人々を新たな生活の場へとエスコートしました。この会社の活動は、戦前の日本における移民の歴史の中で重要な位置を占めており、その影響は今も語り継がれています。

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