海洋気象ブイ

海洋気象ブイとは

海洋気象ブイは、海面や海水中で自動的に気象や海洋のデータを観測する装置です。これらのブイは、一般的に漂流型と係留型の2カテゴリに分けられます。各々の特性を理解することが、大学の研究や海洋調査において非常に重要です。

漂流型ブイ

漂流型ブイは、海面上を自由に漂流しながら様々な観測を行います。このブイには多様なセンサーが装備されており、得られたデータを人工衛星を通じて地上に送信します。さらに、このブイの位置を追跡することで、海流の観測（ラグランジュ的測流）が可能です。

例えば、日本の気象庁が使用する漂流型海洋気象ブイでは、通常3時間ごとに、気圧や水温、波高、波周期のデータが送信されており、位置情報も同時に提供されています。これらのブイは、数ヶ月ごとのバッテリー寿命がありますので、定期的な更新が必要です。観測が終了した後、回収が難しいため、ブイは環境に優しいアルミ合金製で作られています。

中層フロート

漂流型の一種である中層フロートは、あらかじめ設定した深度で漂流し、観測を行います。これらのフロートは、一定の時間が経過すると海面に浮上し、自らの位置と浮上時に得た海水情報を衛星経由で送信します。具体的には、ARGO計画で使用されているPALACEブイ（Profiling Autonomous Lagrangian Circulation Explorer）は、3000個のフロートが10日ごとに浮上してデータを収集する仕組みです。

係留型ブイ

一方、係留型ブイは設置された場所にとどまりながら観測を行います。これらは海底に固定され、異なる水深での水温、塩分濃度、流速、風向、日射などを自動的に観測し、それらのデータを人工衛星を通じて地上に伝えます。

漂流型に比べると、定期的なメンテナンスが必要なので運用コストが高くなる場合があります。実際、気象庁は1982年から2000年までの約20年間、日本近海に係留型気象観測ブイを設置していましたが、コスト削減や技術の進展によって、それらは廃止されました。

しかし、北米の太平洋地域ではNOAAが近年まで係留型を運用し、観測を続けています。また、赤道付近では海洋研究開発機構が中心となり、TRITON（TRIangle Trans-Ocean buory Network）を展開していたが、2021年に最後のトライトンブイが回収され、23年間の観測が終了しました。

出典

関連項目

• - 浮き
• - 海流
• - ARGO計画

外部リンク

• - 気象庁・漂流型海洋気象ブイロボット観測データ
• - 中層フロートによる中層循環の観測

海洋気象ブイは、海洋環境の理解を深めるために欠かせない重要な装置です。これらの技術革新によって、気象や生物の変動を記録し、将来の気候予測に役立てられることが期待されています。

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