海老原一郎

海老原 一郎（えびはら いちろう）

海老原一郎は、1905年8月4日に東京府で生まれた日本の建築家であり、その独創的な設計スタイルで多くの影響を与えました。彼は1990年5月7日に亡くなるまで、建築界において重要な役割を果たしました。

略歴

彼は東京府立第三中学校を卒業した後、1924年に東京美術学校（現在の東京芸術大学美術学部の前身）に入学しました。在学中、彼は山口文象と出会い、近代建築運動の団体である創宇社建築会に参加しました。創宇社は1923年に設立され、若手建築家たちによる新しい建築の形を模索していました。彼は1929年から1930年にかけて、労働診療所や労働者アパートメントなどの作品を同団体の展覧会に出展し、その才能を発揮しました。

1930年3月に東京美術学校を卒業後、海老原は石本建築事務所での勤務を経て、1938年に独立し自身の建築事務所を設立しました。独立後は、特に1950年代から1960年代にかけて、日本の建築界において重要な作品を次々と手掛けていきます。

主な業績

彼の代表作には、1950年代に設計した尾崎記念館（現在の憲政記念館）や、1960年代には日本初の超高層ビル「ディックビル」があります。このビルは18階建てで、74メートルの高さを誇り、霞が関ビルが建てられる1970年まで日本一の高さを保持していました。1980年には、日本芸術院賞を受賞し、1976年から1980年には日本建築家協会の会長を務めました。また、1980年には日本芸術院の会員にも選出されています。

彼の作品として、他に「新世界ビルディング」や「憲政記念館」（1958年）、大日本インク工場や日本バイリーン工場などがあり、多様な用途の建物を手掛けました。新世界ビルディングは地上7階、地下2階からなる複合娯楽ビルです。

海老原一郎は、最晩年には川村記念美術館（佐倉市、1990年）も手掛け、幅広い建築活動を展開しました。彼は建築を通じて日本の文化や歴史を表現し、後世に多くの影響を与えた偉大な建築家として評価されています。

関連人物

有名な美術学校の同期生に山本勝巳がおり、二人は日本の建築界において重要な位置を占めています。彼らの作品や活動は、現在でも多くの建築家やデザイナーにインスピレーションを与え続けています。

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